平成23年度研修の記録
プログラムの実施状況 研修生の生活
平成23年度研修生
国 | 組織 | 年齢 | 性別 | 階級、職名等 |
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インドネシア | 海上保安調整会議 | 26歳 | 男性 | 国内法令調整部局、少尉 |
海運総局 | 29歳 | 男性 | 港湾管理事務所港長業務部署、少尉 | |
海上警察局 | 26歳 | 男性 | 巡視艇乗組員、中尉 | |
マレーシア | 海上法令執行庁 | 30歳 | 男性 | 巡視艇船長、大尉 |
海上警察 | 32歳 | 男性 | 海上運用局国内治安部、大尉 | |
フィリピン | 沿岸警備隊 | 29歳 | 女性 | 長官秘書、少尉 |
32歳 | 男性 | 巡視船乗組員、中尉 | ||
日本 | 海上保安庁 | 25歳 | 男性 | 三等海上保安正(少尉相当) |
25歳 | 女性 | 三等海上保安正(少尉相当) |
平成23年度プログラム実施状況
月日 | 実施内容 |
---|---|
4月18日 | 研修生来日、オリエンテーション |
5月9日 | 開講式、研修開始 |
5月26日 | 日本財団・海上保安庁共同記者発表 |
6月 | 逮捕術訓練 |
7月27日 | 鹿児島地区現地研修 |
8月21日 | 沖縄地区現地研修 |
9月13日 | 関西地区現地研修 |
10月中旬~11月中旬 | 関東地区現地研修 |
12月17日 | 練習船乗船実習体験、関門地区現地研修 |
2月20日 | 北海道地区研修 |
3月7日 | 閉講式、研修終了 |
3月9日 | 日本財団終了挨拶 |
[2011年4月18日] 研修生来日
第一回研修生7名(インドネシア3名、マレーシア2名、フィリピン2名)が来日し、19日から広島国際センターにおいて、オリエンテーションを 受けました。
広島国際センターに到着した研修生 |
研修生自己紹介 |
研修指導員等挨拶 |
広島国際センターでの食事 |
日本人研修生も一緒に生活を送ります |
センターのPCへ登録 |
[2011年5月9日] 開講式開催~研修の本格始動!
記念すべき第一期アジア海上保安初級幹部研修開講式が5月9日、小村和年呉市長、運営委員会委員長の原潔元神戸商船大学学長等のご臨席のもと開催されました。
瓜生晴彦海上保安大学校長による研修員指名、内波謙一海上保安庁総務部長ほかの挨拶のあと、スラクサナ研修生(インドネシア海上保安調整会議)が宣誓を行いました。
研修員宣誓 |
緊張した面持ちの研修員 |
海上保安庁 内波 総務部長挨拶 |
瓜生 大学校長訓示 |
小村 呉市長挨拶 |
石橋 海上保安協会理事長挨拶 |
運営委員長 |
研修員への取材 |
研修員は開講式の後、世界一周の遠洋航海に出発した練習船こじまを見送りました。
研修員から「このような立派な練習船で世界一周できる実習生が羨ましい」とのコメントがありました。
研修員歓迎会が同日夕に行われ、研修員は海上保安大学校教職員、学生有志との交歓を楽しみました。
練習船こじまを見送る研修員 |
出港する練習船こじま |
大学校からは瀬戸海の島々が見える |
海保大学生との交歓 |
自己紹介する研修員 |
歓迎会は和気あいあいとした雰囲気! |
開講式の翌日から研修が本格的に始まりました。
研修員は、予め準備してきたカウントリーレポートを発表し、お互いの国の状況をまず理解しました。
自国の説明に力が入る研修員 |
活発な質疑が行われた |
2人で協力し合っての発表 |
日本人研修生も英語でスピーチ |
[2011年5月26日] 日本財団・海上保安庁共同記者発表
日本財団と海上保安庁のアジア海上保安初級幹部研修に関する共同記者発表が5月26日、日本財団において行われました。
鈴木・海上保安庁長官からは、「アジア地域の海上保安機関からの強いニーズに基づき、Japan Coast Guardが今回の研修を実施する。本研修を通じ各国の支援と連携強化を図っていく。本研修を通して、海上保安庁の人材育成と国際化を一層進めていく」との発言がありました。
笹川・日本財団会長からは、「日本財団の主催で学生ボランティアを募集し、東北大震災復興支援を行ったが、それに参加した海保大の学生は現地の方々から高い評価を得た。この素晴らしい学生の教育、訓練を行っている海上保安大学校をアジア各国海上保安機関の人材育成にも役立てて欲しい。将来はより多くの国から招へいし、海上保安大学校がアジア海上保安分野の人材育成の国際拠点となるように日本財団としても支援していきたい」旨の発言がありました。
研修員を代表して、フィリピン・コーストガードのノイミ研修員が、「本研修において、幅広い知識の習得に努めるとともに、研修員同士の相互理解を深め、良好な関係を構築し、帰国後も、本研修で得た知識と研修員間の絆を活かし、所属機関の発展とアジア地域の海上保安機関の連携強化にベストを尽くす」旨宣誓を行いました。
ノイミ研修員宣誓 |
日本財団会長、海上保安庁長官との記念写真 |
[2011年6月6日] 第三管区海上保安本部・横浜海上防災基地訪問
5月27日から始まった海上保安庁(東京)における研修の一環として、6月6日に第三管区海上保安本部と横浜海上防災基地(横浜)を訪問しました。 第三管区海上保安本部では、運用司令センターにおいてRCC(Rescue Coordination Center)機能の説明を受け、海上保安庁緊急通報用番号「118番」の運用などを見学しました。 横浜海上防災基地では、ヘリコプターが撮影した映像が、ヘリコプター撮影画像伝送システムにより伝送され、防災基地に設置されたモニターに鮮明に映し出される状況などを見学しました。
ヘリコプター撮影画像を見学 |
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[2011年6月23日] 逮捕術訓練に汗を流す
研修員は制服を道着に着替え、逮捕術の稽古にも励んでいます。
アジア初級幹部研修においては、海上保安庁の「逮捕術」を授業に組込んでおり、研修員の逮捕技術の向上に加え、体力の維持、向上とストレスの解消、また学生、教官とのより良き交流の場となっています。
この海上保安庁の「逮捕術」は、東南アジアの法執行機関に対し、比例原則に基づく適切な権限行使の方法を普及するため、各国からのニーズに基づき、海上保安庁が積極的に指導を行っているもので、これまで、フィリピン、マレーシア、インドネシアの海上保安機関に対し、専門家を派遣するなどして指導を行ってきました。特にフィリピン・コーストガード(PCG)においては、既に、新入隊員教育のカリキュラムの一環として導入されており、日本で研修を受けたPCG職員が自ら指導を行っております。
逮捕術訓練に汗を流す |
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[2011年6月28日] 海上保安大学校国際交流プログラムに参加
海上保安大学校では、6月28日から7月4日まで、米国沿岸警備隊士官学校、カナダ沿岸警備隊士官学校、韓国海洋大学校から
合計6人(各国男女1名ずつ)の海上保安機関幹部候補学生を招き、学生国際会議等の国際交流プログラムを行いました。
このプログラムには、アジア海上保安初級幹部研修(AJOC)の研修生9人にも参加して頂きました。AJOC研修生は国際会議において、米国、カナダ、韓国の海上保安関係機関の
教育訓練、文化等についての説明を聴講され、、既に海上保安業務に従事した経験に基づき、学生とは異なる視点から各国学生との間で
積極的な意見交換を行われました。また、呉海上保安部の業務見学や巡視艇体験航海、海上保安大学校施設見学、授業参加、日本文化
体験、親睦会等にも招聘学生とともに参加されました。
この国際交流プログラムを通じ、参加学生及びAJOC研修生との相互理解が深まり、今後の海上保安機関の連携強化にも繋がるものと考えて
おります。
各国学生及びAJOC研修生(国際会議) |
呉海上保安部において巡視艇体験航海 |
日本文化を体験する研修生 |
[2011年7月8日] シー・プリンセスでセーリング訓練
アジア海上保安初級幹部研修の研修生は7月8日、そよ風と暑い夏の太陽と静かな瀬戸内海の波の中で、海上保安大学校のヨット「シー・プリンセス」に乗り、帆走の練習をしました。ほとんどの研修生にとって、ヨットは初めての体験でした。多くの研修生の国では、ヨットでのセーリングは日本のように一般的なレジャーとはなっておらず、未だお金持ちのスポーツと考えられています。
シー・プリンセス(全長12m)は、まさしくその名にふさわしい美しい船です。海上保安大学校ヨット部のメンバーが、ヨットを走らせるのに必要な風をつかまえるためにブームと帆を操ると、ヨットはゆるやかに波間を走りました。
ヨットを実際に帆走させることが、特に風上に走らせることは、傍から見るほど簡単ではないということがわかり、わくわくしながらも、大変為になる体験ができました。セーリングには、まるで飛行機を操縦するように、物理学が深く関わっていることを知り、とても驚きました。
今回は30分のセーリングでしたが、研修生は、船乗りが思うままに自然の力を利用する方法を理解することができました。プリンセスは帆を降ろし、研修生は、また乗船する日が来ることを願いながら、ヨットに別れを告げました。
瀬戸内海で帆走訓練 |
シー・プリンセスに乗船 |
セールの操作を練習 |
[2011年7月15日] 初動捜査に挑戦
実務系基礎科目の一つとして、海上保安庁(東京)刑事課の講師と広島海上保安部の巡視艇(鑑識業務指定船)
乗組員により、初動捜査の実習が行われました。
前日の講義で初動捜査の意義や目的、注意事項などを学んだ研修生は、暑さを跳ね返すに十分な意欲で、現場保全や撮影のイロハ、
血痕採取、事情聴取などに挑戦しました。周到に模擬された事件現場と役者顔負けの被疑者および立会人とのやり取りに、
迫真の場面も見受けられ、初動捜査のポイントが見えた一日です。
指紋採取訓練 |
犯行現場における証拠保全訓練 |
犯行現場における証拠採取訓練 |
[2011年7月27日–29日] 鹿児島現地研修
研修生は、開通間もない九州新幹線に乗車して鹿児島に入り、第十管区海上保安本部、喜入石油備蓄基地、川内原子力発電所などを訪問しました。
第十管区海上保安本部では、本部長のリーダーシップに関する講話を受け、また警備救難部次長からは離島対策など管区の特徴的な業務について説明を聞きました。
豊富な経験に基づく講話・説明に、研修生から質問が相次ぎました。
本部長講話 |
本部長講話 |
警備救難部次長講義 |
前日の懇親会でプレゼントされた鉢巻きを、感謝の気持ちとチームワークの証として締めて受講 |
喜入の石油基地では、巨大なタンク群や荷役中のVLCC、最新の防災設備、また環境対策としての排出ガス処理などについて詳細な説明を受けながら構内を見学しました。 見学途中、遥かに望む桜島が噴煙を上げ、「皆様方を歓迎してくれています」という備蓄基地職員の言葉に、研修生一同感激しました。
備蓄基地の概要説明 |
泡沫消火システムの説明 |
桜島噴煙が歓迎 |
川内原子力発電所では、海上保安大学校の講義で耳にしたペレットや炉心などのイメージと展示館に設置された実物模型とを重ね合せて確認すると共に、 普段は立ち入ることが難しい発電所構内を見学し、原子力に関する理解を深めることができました。
原子力発電所の概要説明 |
実物模型を使い説明 |
研修生一同は、第十管区海上保安本部主催の歓迎レセプションに招待され、心温まる歓迎を受けました。研修生は、同本部職員と一緒に踊りを踊るなど参加者と交流し、 大変楽しいひと時を過ごしました。
研修生歓迎レセプション |
研修生歓迎レセプション |
[2011年8月21日–25日] 沖縄現地研修
沖縄滞在期間中は、研修生の母国を思わせるような明るい陽射しに包まれ、一同心なしか軽やかな足取りにて、第十一管区海上保安本部、那覇航空基地、中城海上保安部などを
訪問しました。
第十一管区海上保安本部では本部長の歓迎の辞に対して研修生代表からも謝辞が述べられましたが、その後は一人一人と気さくに名刺交換が行われ、和やかなスタートとなりました。
警備救難企画調整官の講義では、領海警備や密航密輸事犯あるいはレジャー事故など特有の業務についての紹介がなされ、対策についても興味津々の研修生達でした。
本部長へ表敬訪問 |
一人ずつ名刺交換 |
警備救難企画調整官講義 |
那覇航空基地では、午前中に業務概要の講義と、新庁舎の模擬施設を活用した機動救難士の諸訓練および格納庫の航空機を見学しました。午後は、JICA救難防災コースの研修員と共に ボンバル機に搭乗し、航行船舶からの油流出事故の想定訓練も交え、監視業務を実体験しました。沖縄の美しい海にも感動です。
那覇航空基地業務説明 |
ヘリからの模擬降下訓練 |
いざボンバル機へ! |
沖縄最後の訪問地となった中城海上保安部では、保安部長自らの概要説明や逮捕術の体験訓練、高速巡視艇見学あるいは高速ゴムボート(GB)乗艇など、豊富なメニューが用意され、 第一線で活躍する船長および乗組員との質疑応答にも熱が籠りました。
逮捕術の体験訓練 |
高速巡視艇見学 |
高速ゴムボート体験乗船 |
以上のように、第十一管区海上保安本部の全面的な支援の下、研修生は多くのことを学びましたが、最も印象に残る点として、「沖縄でも、鹿児島でもホスピタリティに溢れる
海上保安官と交流が図れたこと」を挙げてくれました。
海上保安業務に関わる研修の合間には、国際海洋環境情報センターや美ら海水族館、首里城、おきなわワールドなども訪問し、海洋への知識や独特な沖縄文化についても知見を広げることが
出来た研修旅行でした。
水圧の実験に見入る研修生 |
首里城にて |
おきなわワールド |
[2011年8月21日–25日] 沖縄研修旅行–島人ぬ宝–
沖縄を知らない人がいるでしょうか?聞いたことがないなら、知るべきです。沖縄は、日本で最も魅力的な場所のひとつです(少なくとも私にとっては)。日本で唯一の亜熱帯に
ある、快適な気候の県です。世界地図では、沖縄は太平洋上の小さな点にすぎませんが、かつてそこには独立した王国、琉球王朝がありました。
沖縄は日本の中で、特有の歴史と文化を発展させてきました。沖縄は、すべての「宝」(島人ぬ宝)をその島の中に変わりなく持ち続けなければならないのです。海の安全と治安、そして
環境を守ることは、第十一管区海上保安本部の重要な責務です。東岸の中城湾にある中城海上保安部においては、国を守る態勢が整えられています。那覇航空基地は24時間体制で、
領海警備や、人命救助、海洋環境の保護に努めています。安心して、沖縄を訪れてください。
沖縄美ら海水族館は、大変興味深く楽しいものでした。「超感動的な」シーンが映し出される巨大なアクリルの窓は、8×22×0.6メートルの大きさです(想像できますか?)。
様々な種類の魚がその巨大な水槽の中を泳ぐ様子は、まるで万華鏡のようです。長さ8.5メートルの大きなジンベイザメや、飼育されているものでは長寿の世界記録を持つたくさんのマンタが
います。
文化体験として、首里城公園とおきなわワールド(玉泉洞・王国村)を訪れました。ここでは、エイサーが上演されています。エイサーは沖縄でお盆の時期に踊られる伝統芸能です。
元気いっぱいでないと、本物のエイサーは踊れません。ここには、パパイヤ、バナナ、マンゴーなどの果樹や、たくさんの種類の季節の花を含む450種の熱帯の木々が植えられています。
ヘビとマングースのショーも行われています。一番すばらしいのは玉泉洞の鍾乳洞で、美しい「天然の博物館」が30万年をかけて見事に創り上げられています。
名護市は沖縄にある大変有名な都市で、2000年にはG8サミットが開催されました。国際海洋環境情報センター(GODAC)は、沖縄県北部地区での情報通信関連企業の誘致を推進するために
設立されました。GODACは海洋研究開発機構(JAMSTEC)により運営されています。デジタルアーカイブ化された深海映像や研究資料がWebサイトを通じて一般に公開されています。
研修生はみんな本視察研修旅行を満喫し、すべての研修目標は達成されました。第十一管区の本部長をはじめ職員のみなさんが我々を歓迎してくださり、また多くのことを教えてくれました。
今度お会いできるのがいったいいつになるかはわかりませんが、またお会いする機会があれば、ぜひ泡盛とこの沖縄の歌をもういちど。
…いつの日かこの島を離れてくその日まで、大切なものをもっと深く知っていたい。それが島人ぬ宝 (島人ぬ宝 BEGIN)
ボンバルディアに搭乗 |
巡視船に乗船 |
GODACでの水圧実験 |
[2011年9月13日–16日] 関西地区現地研修
朝夕には少し秋の気配を感じる9月中旬に、関西空港海上保安航空基地、神戸大学海事科学研究科および海上保安学校を訪問しました。
研修生は海上保安部も航空基地も既に体験済みでしたが、双方の機能を併せ持つ関西空港海上保安航空基地では、その特長を生かした業務内容の説明を受けると共に、
機動救難士の訓練を見学した後は救難資機材を装着する機会も得て、レスキューの知識もワンランクアップしました。
講義風景(基地長挨拶) |
ボンベを背負って |
吊上げ救助を模擬体験 |
海事に関わる見識のみならず交流の幅をも広げるため、神戸大学海事科学研究科を訪問し、大学院に在籍する東南アジア地域からの留学生と交流しました。 参加者全員が自己紹介した後は、プレゼンテーションと意見交換、施設見学および昼食会と続き、母国の話も弾んで予定の時間は瞬く間に過ぎてしまいました。
記念品の贈呈 |
代表者のプレゼンテーション |
快晴の朝となった海上保安学校の訪問は、学校長および副校長への表敬と懇談から始まりました。教育制度は研修生の関心の的であり、学校長の丁寧な説明に質問も続出しました。 引き続く施設見学では、綺麗に整理整頓されている学生寮の様子に、研修生もひとしきり感心の体でした。
表敬訪問時の懇談風景 |
学生寮を見学 |
保安学校の絶景ポイントで |
[2011年9月13日–16日] 関西地区現地研修
9月13日から16日までアジア海上保安初級幹部研修の研修生は、関西地区の研修旅行に行き、海上保安施設を視察し、神戸大学深江キャンパス(海事科学部)を訪問しました。
この視察旅行では、海上保安庁についてだけではなく、日本の海事教育についても学ぶことができました。
大阪湾は、日本で最も輻輳した海域の一つですが、海上保安庁がこの海域の監視をどのように実施しているかということを知ることができました。この海域を管轄する関西空港海上保安航空基地は、
海上保安庁のなかでも希有な組織です。この地域において、効果的な巡視と、違法な漁業の取り締まりを行うために、海上保安署と航空基地の機能を併せ持っています。両組織の長所と短所を
考慮し、互いの機能を補完するべく設置されたのです
救助技術を実体験する研修生 |
今回の研修旅行により、海事問題全体に関する知識を広げることができました。海は大きく、広がりを持っているので、多くの人々に影響を与えます。私たち研修生だけでなく、世界中では多くの人々が、様々な海事に係る課題を学び、 研究しています。そして、それらは互いに関連し合っています。つまり、私たち研修生もまた海上の安全と発展のために、重要な役割を果たしているのです。
神戸大学での交流プログラム |
練習船「深江丸」と共に |
[2011年10月17日–21日] 海上災害防止センター(横須賀市)での研修
10月17日から21日まで、アジア海上保安初級幹部研修の研修生は、横須賀の海上災害防止センターで、船舶火災や油流出などの海上災害をいかに防止するかについて学びました。
また、海上の災害防止に関する本研修を通して、海上保安庁が海上災害防止センターとどのように連携しているのかを知ることができました。
横須賀市にある海上災害防止センターは、独特の施設です。船舶火災や油汚染を防止するため、訓練と指導を行っています。アジア海上保安初級幹部研修の研修生は、海上での消火と油防除と
いった災害防止方法について研修しました。
本研修旅行を通して、研修生は海上災害防止についての知識を深めることができました。私たち研修生だけでなく、世界中では多くの人々が、様々な海事に係る課題を学び、研究しています。
そしてそれらは互いに関連し合っています。つまり、私たち研修生もまた海上災害防止と海の安全のために、重要な役割を果たしているのです。
開講式のあと(海上災害防止センター研修所) |
消火訓練 |
流出油除去訓練 |
[2011年10月17日–21日] 消防・油防除訓練
研修生は10月17日から21日までの一週間、横須賀の海上災害防止センターで消防と油防除の研修、訓練を受けました。「ここは修了試験のポイントです」と火を着けられ ながら、実験も交えた講義を通じ、燃焼の原理原則、消火の基本を学ぶ事からスタートしました。
開講式後に記念撮影 |
揃いの作業服に身を包み |
実験を交えた座学から |
頭の中を整理した後は、いよいよ実習です。現場の状況と同じように石油やガス火災を再現し、消火方法を体得するための消防演習場は、東京湾のほぼ中央に浮かぶ島 (第二海堡)に用意されています。荒れ模様の東京湾を渡り、消防演習場で防火服に着替えた研修生達は、幾度も繰り返される注意と施設の威容に緊張気味でした。
荒れ模様の海を渡り |
いよいよ・・・ |
まずは初期消火から |
小規模の火災から油タンクの火災、機関室や船室内の火災に至るまで、燃焼の形態と対応の違いを次々に経験して行きます。燃え盛る炎を前にして、消火の手順も白紙に戻る研修生達で したが、飛び交う号令もチームワークも次第に整うようになりました。二日間に及んだ厳しい消防訓練の最後のメニューでは、自分達で作戦を立て、消火の指揮を執る所にまで成長しました。
巨大な炎との戦い |
歯を喰いしばり |
自ら作戦を立てて |
消防訓練の後は、流出した油の除去に関する勉強と拡散防止のためのオイルフェンス展張訓練に臨みました。軽い型式のオイルフェンスを使った訓練ですが、展張するためには全員の力を合せなければなりません。消防訓練と共にチームワークの大切さも学んだ研修でした。
皆で協力! |
オイルフェンス展張 |
修了証書の授与 |
[2011年10月27日] LNG タンカーに乗船
アジア海上保安初級幹部研修の研修生は、液化天然ガス(LNG)タンカーに乗る機会を得ました。LNGタンカーは、LNGを運搬するために設計された船です。
我々が乗船したタンカーには、4つの球状タンクが搭載されていました。船名はUmm Al Ashtanで、リベリア船籍、総トン数116,703トン、全長290.143 m、全幅48 m、ドラフト12.3 m、
1997年建造で、所有者は、国営アブダビ石油公社です。
天気の良い木曜の朝でした。LNGタンカーに乗る前に、まずはタグボートに乗らなければなりませんでした。二つの班に分かれ、一班は相模丸というタグボートに、もう一班は葉山丸に
乗船しました。東京湾水先人事務所の桟橋を9時10分に出発し、40分後についにLNGタンカーのところへ着きました。LNGタンカーは、安全性とセキュリティを考慮して造られ、
厳しい国際基準を満たさなければなりません。ハイテク船であり、たいへん低温のLNGを安全に扱うために、特殊な資材や設計が用いられています。
LNG輸送に携わる者はみな、安全ということを非常に重要視しています。多くの人々の生命や莫大な財産が危険にさらされるのです。産官が連携して、これらの船舶が、安全を考慮して、
設計、維持、及び船員の配乗が確実になされるように努めています。業界は、定期検査という行政による監督によって、船舶を維持管理します。行政が、乗員訓練の基準を設けています。
このような結果が、長きにわたる安全な航行につながっています。過去30年以上の間、LNGタンカーは世界中でおよそ33,000航海していますが、重大な流出事故は起こしていません。
現在、およそ180隻のLNGタンカーがあり、さらに110隻の建造が予定されています。LNGタンカーの設計は素晴らしくよくできており、たとえ潜水艦が船の下から浮上しても、
船底の損傷はあっても、LNGタンクの損傷は全くありません。
タグボートから本船へ移るために、大変高い舷梯を登らなければなりませんでした。しかし、高い所が苦手でも大丈夫です。安全対策が取られています。デッキ上では、デービス一等航海士
が迎えてくれました。彼はとても親切な方で、我々を会議室へ招き入れて、彼の職務やLNGタンカーの詳細などについて説明してくれました。その後、ブリッジへ移動し、そこで船長に
お会いしました。彼は、背が高く、笑顔の良い人でした。ブリッジで何名かのオフィサーとお話をしました。お忙しいのにもかかわらず、我々の質問に熱心に応えてくれました。
彼らのおかげで多くのことを学べました。LNGタンカーには、安全性に何らかの問題がある場合には、それを感知し、運転を停止する緊急停止システムがあります。これにより、放出され
る可能性のあるLNGの量は大幅に少なくなります。火災・ガス検知/消防システムにより火災発生の危険を回避します。特別な運転手順や訓練や保守などが、安全性を更に高めています。
LNGタンカーには操船をさらに安全にする装備がついています。高機能のレーダーや測位システムにより、乗員は船舶の位置や交通をモニターし、外的危険性を察知することができます。
外からの支援を必要とする緊急事態が発生した場合には、GMDSSと呼ばれる、海上における遭難および安全に関する世界的な制度により、自動的に信号が送られます。また、
LNGタンカーの中には、着岸の際、安全な速度を保つために速度計を使用するものもあります。係留時には、自動係留索監視装置が船舶の安全を確保します。陸上のシステムとつながって
いるときには、計器関係システム、及び陸上・船舶LNG搬送システムが一体化して作動しており、船舶側と陸上側の両方から全システムを緊急停止することが可能になります。
LNGタンカーが浦賀水道と中の瀬へ向かう途中で、東京マーチスの建物を見ることができました。東京マーチスは、東京湾の船舶交通の安全と効率を維持、改善するための施設で、
海上保安庁により設立、運用されており、法令、政令、省令、公告、行政指導に従っています。東京マーチスは、レーダー*、高度交通システム、船舶自動識別装置(AIS)、VHF無線電話
機などの装置により、船舶交通情報を収集、検証、モニタリングし、安全を維持、改善します。船舶安全に必要な情報も提供します。また、差し迫った危険や、交通規則の違反の回避に必要
と考えられる場合には、航行に関する助言を提供し、視界が制限されている際には、航路の外で待機するように指導します。航路へ入るタイミングの許可や調整もします。VHF無線電話に
加えて、東京マーチスは、ラジオ、電話、ファックス、インターネットのホームページで航行支援情報を提供しています。
我々のLNGタンカーは12時20分に、富津火力発電所ターミナルに着岸しました。デービス一等航海士から船上でランチに招待され、13時に体験乗船は終了しました。船長と乗組員の方々の
ご親切に大変感謝しています。今回の研修はとても興味深く、且つ為になりました。
*電波を利用して目的物の距離、高さ、方向、速度を測るシステム
LNG船に乗船 |
4つの球状タンク |
全景 |
[2011年10月17日–11月7日] 東京地区研修
東京地区の研修は、海上災害防止センター(横須賀市)における消防・油防除訓練を含め3週間以上の長期間に及びました。海上災害防止センターでの厳しい訓練を終えた 研修生は、引き続き横浜、東京へと移動しながら多彩な研修メニューを消化しました。
管制卓を覗きながら |
油吸着材の数々 |
工作船の説明に聞き入る |
本拠地を横須賀から横浜へと移してからは、東京湾海上交通センター、海上保安庁および横浜機動防除基地にて海上保安業務について学び、海上保安資料館横浜館では北朝鮮 工作船事案について理解を深めました。また、船舶交通が輻輳する東京湾の実情と海上交通の安全対策を体得するため、浦賀水道航路の哨戒に当たる巡視船と航路を航行する大型LNG船の 双方に乗船する機会も得ました。LNG船に移乗する際の天候が心配でしたが、快晴で波静かなコンディションに恵まれ、立場や目的が異なる船舶への乗船経験は、まさしく研修生の視野を 大きく広げ、海上保安庁が実施する海上交通業務について理解を深めることができました。
LNG船に移乗 |
さすがに船橋も広い |
視野も違います! |
一週間の横浜市滞在後は東京に本拠地を移し、海上保安庁にて国際組織犯罪に関する講義を受けたり、海上保安試験研究センター(立川市)や羽田航空基地に足を延ばしたりと、充実した
日々が続きました。
海上保安試験研究センターでは、ペイントの擦過痕から幾層にも塗り重ねられた経歴を分析し、船舶の同定にまで結び付ける過程や、薬物の鑑定、紙幣やパスポートの真贋判定など、
機器操作を交えながら体得するメニューが用意されており、マイクロスコープを覗き込むなど、俄か職員に変身したような研修生達でした。これらの経験を通じ、研修生は、科学的捜査の
重要性について深く理解することができました。
起源はレンズの工作所 |
ペイント破片を覗いて |
真贋のほどは? |
羽田航空基地および隣接する特殊救難基地では、特に救難業務の連携についての質問も多く、想定される事案に必要な要具一式が常に用意され、隊の編成と共に即応体制が整えられている 様子を実感しました。
格納庫にて |
降下要具一式の説明 |
救急救命士の仕事は |
海上保安業務の範囲は広く、出来る限り多くの知見を得るため、海事コンサルタント会社やコンテナターミナルなども訪問しました。日本国内の事例のみならず、海外での海上交通安全に 関わるコンサルタント業務の説明や、コンテナ輸送の実情に触れ、情報と知識の幅を広げることが出来ました。
操船シミュレータ見学 |
コンテナターミナルにて |
船長から海賊の実情を |
東京地区研修の目的の一つとして、他の地区における研修と同様、海上保安庁の職員等との交流、相互理解を深めることも挙げられます。11月2日には、海上保安庁内波総務部長以下職員 約50人の参加のもと懇親会が開催され、誕生日を迎えた2名の研修生にケーキが贈られるなど、心温まる交歓の場となりました。
交流の記念に |
Happy Birthday |
[2011年12月17-21日] 乗船実習体験と門司海上保安部訪問
AJOC研修生は、海上保安業務に関わる知識や技能を広範囲に渡って習得しますが、それぞれの国で人材育成に携わることも期待され、教育訓練制度や方法について理解を深める必要があります。「百聞は一見に如かず」、海上保安大学校の本科4学年の学生が実習に励む練習船に同乗しました。体験乗船の日程は呉出港から別府入港までの3泊4日です。
出港時には、教官やベテラン乗組員による学生の指導状況をつぶさに見学しました。危険を伴う甲板作業では、緊張感をもって作業に従事する必要があり、AJOC研修生は、張り詰めた雰囲気を肌で感じ取ることができました。無事に出港した後も暫くは狭い水道や漁船が密集するなどの難所が続き、操船を担当する学生には試練の連続ですが、教官の適切なアドバイスは学生のみならず、研修生にも良い勉強になりました。
出港作業を見守る |
漁船群を避けながら |
曳航訓練の見学風景 |
今回の体験乗船では、練習船としての特別な業務を紹介する講義や遭難した船舶を曳航救助するための訓練に加え、夜間の実習状況を航海、機関および通信の各部を巡りながら体得するメニューも組み込まれました。その合間を縫ってシャワーを浴びるなど終日忙しい研修生でしたが、学生と共に配膳する食事はボリュームも満点、まさしく活力の源になりました。収容設備などの制約もあり、学生と同じ環境で船内生活を体験した研修生でしたが、規律正しくチームワークに溢れる時間を共有し、初心の心意気や謙虚さを思い出すメリットもあったようです。
食事の配膳も一緒になって |
並んで食器の洗浄 |
お別れの下船式 |
別府港で下船し練習船と別れを告げた研修生は、関門海峡を管轄する門司海上保安部を訪問しました。密航密輸事犯や海上交通の安全確保など、同保安部特有の業務講話を受けると共に、鑑識技術の実演を見学し、関門航路を哨戒する巡視船にも同乗して、大いに見識を深めることができました。
業務講話に地元メディア |
鑑識の実演も交えて |
お世話になりました |
[2011年12月27日] ReCAAP Information Sharing Centre 職員による講義を受講
AJOC研修生は12月27日、シンガポールから招聘したReCAAP information Sharing Centre 職員の講義を受けました。
ReCAAP(:Regional Cooperation Agreement on Combating Piracy and Armed Robbery against Ships in Asia「アジア海賊対策地域協定」)は、アジアの海賊問題に有効に対処すべく
地域協力を促進するため、2004年11月に採択され、2006年9月に発効した協定で、我が国をはじめ、17カ国が締約国となっています。
ReCAAP Information Sharing Centre(情報共有センター)は2006年11月、この協定に基づいてシンガポールに設立された組織で、海賊、及び武装強盗に関する情報共有、人材育成、
協力体制の構築を任務としております。
今回は、海上保安庁出身でプログラム部門の事務局長補と、シンガポール出身の上級調査官を講師として招聘しました。
海上保安庁出身の事務局長補は、ReCAAPの概要、設立の経緯、その任務について説明しました。海賊及び武装強盗の事案情報の具体的な伝達プロセスが示されると共に、情報共有の必要性が
述べられました。
シンガポール出身の上級調査官は、実際に起こった事案を紹介し、海域における海賊及び武装強盗のパターンや傾向を説明しました。単なる統計の数値ではなく、それぞれの事案の分析を
通して、関係者間の情報共有が問題解決にいかに重要であるかが述べられました。
研修生からは、正確かつ迅速な情報共有には、関係者の共通認識と連携が大切であるが、それにはまず良好な関係を築く必要があるとの意見が出ました。アジア海域の海賊及び武装強盗への
対応に係る課題は、対策法のある国ない国など、各国、各機関によってそれぞれ異なります。各国の主権を尊重しながら、地域全体の安全へと繋がる連携について、その重要性と難しさを
再確認する機会となりました。
ReCAAPの概要を説明する講師 |
事案の分析結果を紹介する講師 |
受講中の研修生 |
講義後の記念撮影 |
[2012年2月15日] 海洋環境・防災論(燃焼・爆発実験)を受講
AJOC研修生は、屋外での燃焼・爆発実験を通じ、HNS(有害・危険物質)事故への対応について学びました。
有害・危険物質事故に対応するためには、その性質を理解する必要があります。燃焼やボイルオーバーなどの現象を実験を通じて体験することにより、これまで学んだ火災や爆発に関する基礎的な知識を定着させ、より実践的な対応が可能となります。
簡易実験の準備を見守る研修生 |
実験開始 |
濃度を計算する研修生 |
燃焼を見学する研修生 |
小さな炎にも危険が潜んでいます |
実験が終了しました |
[2011年2月20日-22日] 紋別海上保安部訪問と極寒の体験
AJOC研修生は様々な海上保安業務の現場を訪問し、実体験を通して知識を深めて来ましたが、その締め括りとして冬季の北海道、紋別海上保安部を訪問しました。紋別空港に降り立つと、一面を雪に覆われた白銀の世界が南国育ちの研修生達を出迎えてくれました。
慣れない雪道に足を滑らせながら到着した紋別海上保安部では、文字通り暖かく迎えて戴きました。海上保安部長から業務講話を受けましたが出入港船舶数の推移と背景、航空機と連携した外国漁船の密漁取り締まりになどに、熱い質問が相次ぎ予定の時間を超過しました。また、同保安部内の見学では、海の安全に関する情報をリアルタイムに提供するMICS(沿岸域情報提供システム)の編集卓なども興味深く案内され、お別れの時には全員で記念撮影となりました。
紋別海上保安部長の講義 |
紋別海上保安部見学 |
記念撮影 |
翌21日は、毎年紋別市内で開催されている北方圏国際シンポジウムに参加し、北極海の航路利用計画をテーマとする特別セッションを聴講しました。航程短縮の可能性を秘めた氷海航路利用についての興味深い講演に、一般参加者に勝るとも劣らない熱心な質疑が続き、会場の雰囲気を大いに盛り上げました。
名物の流氷は遠く沖合に離れて観測することは叶いませんでしたが、薄いながらも氷に覆われた紋別港のクルーズや、オホーツク流氷科学センターでは地元小学生達とマイナス20℃の部屋を体験するなど、極寒の世界と人の繋がりをしっかりと感じ取った研修生達です。
シンポジューム会場前で |
結氷した紋別港内 |
マイナス20℃とシャボン玉 |
[2012年3月7日] 第1回アジア海上保安初級幹部研修終了
第1回「アジア海域の安全確保、環境保全のための海上保安能力向上プログラム」(アジア海上保安初級幹部研修)の閉講式が、原・元神戸商船大学学長(同プログラム運営委員会委員長)の出席を得て、海上保安大学校で開催された。
瓜生大学校長からインドネシア、マレーシア、フィリピン、及び日本の研修生に修了証書と記念品が手渡され、2011年5月9日に開催された開講式で始まった同研修も無事終了した。
瓜生大学校長式辞 |
原・元神戸商船大学学長来賓挨拶 |
研修生一同 |
修了証書・記念品授与 |
修了証書・記念品授与 |
修了証書・記念品授与 |
修了証書・記念品授与 |
修了証書・記念品授与 |
修了証書・記念品授与 |
修了証書・記念品授与 |
修了証書・記念品授与 |
修了証書・記念品授与 |
閉講式終了 |
本館前で記念写真 |
(写真をクリックすると大きくなります) |
閉講式のあと場所を変え、研修生歓送会が開催された。道本副校長から挨拶があり、研修生は一人ずつ、長い研修生活の成果と思い出を述べた。
道本・副校長の挨拶 |
思い出を述べる研修生 |
思い出を述べる研修生 |
思い出を述べる研修生 |
思い出を述べる研修生 |
思い出を述べる研修生 |
思い出を述べる研修生 |
思い出を述べる研修生 |
思い出を述べる研修生 |
思い出を述べる研修生 |
思い出の集合写真 | |
(写真をクリックすると大きくなります) |
研修生はこのあと東京に移動、海上保安庁、及び日本財団に修了の報告をしたのち、海外研修生は3月10日、成田空港からそれぞれの国に無事飛び立った。
[2012年3月9日] 研修生日本財団に修了報告
アジア初級幹部研修を修了した研修生9名は日本財団を訪問し、海野常務理事に、一人ひとり研修の成果を報告するとともに、日本財団の支援に対し謝意を述べた。
海野常務理事からは、研修開始当初と比べ研修生の顔が充実したたくましい顔になっているという感想とともに、この研修で得たつながりを大切にし、母国に帰ったのち、リーダーとして人の幸せのため、社会の安全のために貢献して欲しい、という激励の言葉が研修生に送られた。
研修成果を報告する研修生 |
研修生から記念品贈呈 |
研修生から記念品贈呈 |
日本財団会議室で記念写真 |
写真をクリックすると大きくなります |
平成23年度研修生の生活
月日 | 活動状況 |
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5月22日 | 小学校の運動会に参加 |
6月25日 | 宮島見学旅行に参加 |
7月17日 | 日本語講習 |
8月13日 | 盆踊りに参加 |
8月19日 | 型染めに挑戦 |
10月8日 | 西条酒祭りに参加 |
11月18日 | どら焼きづくり |
12月22日 | 茶道を学ぶ |
1月6日 | 華道を学ぶ |
1月14日 | 「とんど」と餅つき |
1月26日 | 和紙で人形作り |
2月17日 | 書画に挑戦 |
3月2日 | 夜間日本語講習修了 |
[2011年5月22日] 小学校の運動会に参加
地域住民との交流を目的のひとつとする運動会が、研修員が宿泊しているひろしま国際プラザの近くの小学校であり、研修員全員が参加しました。 研修員9名は、パン食い競争、玉入れ、ゲートボール、リレーなどの競技に汗を流し、休日の一日を地域の人達と楽しみました。
小学生の前で力自慢 |
リレーでバトンをつなぎます |
競技を楽しみました |
[2011年6月25日] 宮島見学旅行に参加
アジア海上保安初級幹部研修の研修生は6月25日、ひろしま国際プラザに宿泊しているJICA研修生7名とともに、(財)ひろしま国際センターが企画した宮島見学旅行に参加しました。
この見学旅行は、研修の主な目的のひとつである日本とその歴史・文化を理解するために企画されたものです。1400年の歴史を持つ厳島神社は、宮島の中で最も魅力的な場所であり、日本政府から国宝として指定され、ユネスコの世界遺産として登録された、日本三景のひとつです。
研修生は、1874年に建設された大鳥居や1407年に建設された五重塔、人によく慣れた鹿と一緒に写真を撮りました。研修生はまた、高さ535メートルの弥山にロープウェイで登りました。弥山山頂からの眺めはまさに格別で、獅子岩展望台から見事な眺望を楽しみ、瀬戸内海の島々を見ることが出来ました。
研修生は素晴らしい宮島の自然と歴史の中を散策し、本当に楽しい経験をしました。
獅子岩展望台で記念写真 |
大鳥居を背景に |
可愛い鹿と |
[2011年7月7日] 日本語講習
私たち研修生は、日本語講習を受けられることに大変感謝し、またとても楽しく受講しています。最初の授業は、「紹介」でした。名前、仕事、国、故郷、趣味など、日本語で自己紹介することを学び、海上保安大学校の学生を相手に、それを実践しました。日本で「生き延びる」スキルを磨くため、屋外での現場講習も行いました。
例えば、はがきを送る、店でものを尋ねる、値段を聞く、道を尋ねるなどの実習です。また、この日本語講習の時間には、言葉を学ぶだけではなく、日本文化の紹介も受けております。
講習では、面白い話や文章をたくさん勉強しているので、それらを使って軽口を言うこともできます。例えば、”Oh, time is up.” 又は”It is the time to say good bye”と
言う代わりに「ソロソロ シツレイ シマス」と言ったり、「ジャア、ビョウイン イキマショウ」などと日本語で言ったりします。誰かが「ジャア」と言うのを聞いただけで、
その人が「ジャア ビョウイン イキマショウ」と言うものだと考え始めます。
私たち研修生は毎週金曜日、夜7時から2時間日本語講習を受けています。海上保安大学校から広島国際プラザ(HIP)に帰って来るのが夜6時で、時々疲れている日もありますが、
全員でいつも、日本のことばと文字、そして文化を熱心に勉強しています。
HIPでの日本語講習 |
着物を試着 |
茶道を体験 |
屋外講習 |
屋外講習 |
[2011年8月13日] 盆踊りに参加しました
8月13日に、アジア海上保安初級幹部研修の研修生はJICAの研修員と一緒に、西条盆踊り大会に参加しました。盆踊り祭りは、西条駅近くの御建グランドで行われました。
盆踊りは、旧暦の7月15日に毎年行われ、日本では、500年以上もの間、引き継がれてきました。
研修生は全員が、地域の人たちと一緒に盆踊りを踊って楽しみました。このお祭りは、日本の方々や日本の文化に親しむとてもよい機会となりました。
どの研修生も、熱心に盆踊りを習っていました.
盆踊りに加えて、大声大会にも出場しました。参加者は、叫びたい日本語の言葉を何でも自分で選べました。最終的な勝者は、研修生のハリーさんとリチャードさんでした。
お祭りは、色鮮やかな花火大会で終わりました。
みんなで盆踊りを楽しみました |
楽しく踊りました |
大声で叫ぶ大声大会参加者 |
優勝者に贈られたのはスイカでした |
祭りの終わりの花火 |
[2011年8月19日] 型染めに挑戦
2011年8月19日に、日本の伝統的な型染めの講座を受講し、日本文化を体験する大変有意義な機会を得ました。型染め体験は全くもって興味深いものでした。また、講師の直子さんは大変 親切で、この講師のお陰で、型染め体験は一層意義深いものになりました。多くのことを講師から学び、今まで経験のない、難しい作業をやってのけることができたのです。型染めでは、自分たちが今まで使ったことがなかった部分の想像力を使いました。中には、あまりにもワクワクし過ぎて、講師の説明が終わる前に塗り始める者まで出る始末で、 みんなで大笑いしました。型染めは、みんなをそれほどワクワクさせる初めての体験でした。
創作過程で我々は、講師に対し畏敬の念を抱き、喜び、感謝の心に包まれました。型染めは、根気のいる作業です。講師の先生が、私の絵の具と筆と布から作り出された型染めに驚き感心 してくださり、私は得意な気持ちになると共に気恥ずかしくもなりました。先生が私にいったいどうやって作り上げたのかと尋ねられましたが、自分自身でも驚いてしまうくらいでした。
型染めは、とてもきれいで生き生きとして見えます。彩りの美しさに言葉を失ってしまいます。様々な色が一つの形になり、まるで生きているようです。なんて素晴らしいのでしょう。
我々にとって、この経験は解放感と色彩と明るさと喜びに満ち溢れたものでした。
説明を聞く研修生 |
作業手順を説明する講師
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集中して作業に取り組む研修生 |
丁寧に染色する研修生
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完成まであと少し
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完成した作品 |
作品とともに満面の笑みで記念撮影
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[2011年10月8日] 西条酒まつりに参加しました
朝晩急に冷え込むようになり、季節の変化に驚きを感じていた10月の休日、私たち研修生は普段宿泊している広島国際プラザの近くで行われた「西条酒まつり」に参加しました。 東広島市にある西条というまちは、日本有数の酒どころで、町のいたるところに酒蔵があり、立派な煙突が立っています。毎年開かれるこの「酒まつり」は西条が一年で最も活気づく お祭りで、全国各地からたくさんの酒好きが集まってきます。西条の近くにある広島国際プラザも建物全体でこの祭りを盛り上げます。広島国際プラザでは酒祭りの前日に前夜祭として各国の伝統衣装を身にまとったファッションショーや夕食会が 行われました。私たち研修生からもフィリピン組がこのファッションショーに参加しました。
祭り当日は西条駅周辺が多くの出店や観光客でにぎわいます。私たちもそれに混じって、できたばかりのお酒を試飲したり、酒蔵を見学して酒造りについて学んだりしました。 午後からは地元の小学生と一緒になって「酒みだればやし」を演じながら西条のまちを練り歩きました。この「酒みだればやし」は酒どころ・西条に古くから伝わる囃子で、 各人が太鼓と撥を一つずつ持ち、決められたリズムを叩きながら行列を作って町中を歩きます。最初は日本独特のリズムに戸惑う外国人研修生たちでしたが、沿道の観光客や出店の人たちに 励まされ、二時間にもおよぶ「みだればやし」をやり遂げるころには、その難しいリズムをすっかりマスターしていました。
自国の伝統衣装姿の研修生 |
酒造りについて学ぶ研修生 |
酒蔵を見学 |
酒樽と記念撮影 |
日本酒が絵になる研修生 |
試飲後の酔書(自筆) |
酒みだればやしに参加 |
休憩時間も元気いっぱい |
[2011年11月18日] どら焼きづくり
私たちは2011年11月18日に、広島国際プラザが特別に依頼した講師から、どら焼きの作り方を習いました。みな大喜びで、この有名且つおいしいお菓子を作りました。どら焼きは私たちの
国でもよく知られています。どら焼きと言えば、誰もがドラえもんを思い浮かべます。ドラえもんは日本のマンガとアニメのキャラクターで、どら焼きが大好きです。どら焼きは、
シリーズ中、何度かお話の小道具に使われています。ドラえもんの名前は「どら焼き」からではなく、「どら猫(迷い猫)」に由来しますが、これはちょっとした語呂合わせです。
ドラえもんは藤子不二雄による日本のマンガシリーズで、のちにアニメシリーズにもなり、アジアでもヒットしました。ドラえもんは、耳のないネコ型ロボットで、小学生ののび太を手助け
するために22世紀から時間を超えてやってきます。
どら焼きは、平たく丸く延ばしたカステラ生地二枚で小豆餡を挟んだ和菓子です。元々、皮は一枚でした。現在のかたちは、1914年に上野のうさぎやによって考案されたそうです。
「どら」は、日本語で打楽器の「銅鑼」と言う意味で、その形が似ていることから、これがお菓子の名前の由来とされています。最初のどら焼きは、その昔、弁慶が身を隠していた農家に
銅鑼(どら)を置き忘れ、農夫がその銅鑼を使って円盤状の菓子を作ったことが始まりで、そこから、どら焼きと名付けられた、という説があります。
講師の方々が作り方を、初めから終わりまで説明してくださり、全員、自分でどら焼き作りにチャレンジしました。その後、みんなで一緒にいただきました。今回の体験を、
それぞれの国に戻ってからも決して忘れないでしょう。また、どら焼きを作ってみたいと思います。
「おいしいといいな」 |
みんなで参加 |
慎重に焼く研修生 |
講師はみなさんとても親切 |
[2011年12月22日] 茶道を学ぶ
研修生は12月22日に、広島国際プラザにおいて、日本文化体験の一環として、茶道を学びました。
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[2012年1月6日] 華道を学ぶ
研修生は日本での新年を迎えた1月6日、ひろしま国際プラザにおいて、日本文化体験の一環として華道を学びました。
[2012年1月14日] 「とんど」と餅つき
AJOC研修員はJICA研修員とともに、ひろしま国際プラザの近くにある御薗宇小学校の校庭で開催された「とんど」と餅つきに招待され、同校児童らと楽しい時を過ごしました。
[2012年1月26日] 和紙で人形を作りました
AJOC研修生は、和紙人形作りをとおして、日本文化を体験しました。和紙で小さなパーツを扱いましたが、みんな器用に、そして上手に、人形を完成させることができました。
髪飾りの大きさや位置、掛け紐をあえてリボンに変えてみたり、とそれぞれのセンスを活かして、おしゃれで、かわいい和紙人形ができました。
真剣に作成する研修生 |
真剣に作成する研修生 |
真剣に作成する研修生 |
真剣に作成する研修生 |
真剣に作成する研修生 |
真剣に作成する研修生 |
可愛らしい作品 |
講師の先生方 |
[2012年2月17日] 書画に挑戦
AJOC研修生は、3月3日のひな祭りを題材にして書画を習いました。
最初に、講師から日本の伝統行事であるひな祭りについて説明を受け、その歴史や習慣を理解しました。
その後下絵の練習をしたのち、、色紙にお雛様と内裏様の絵と、「ひなまつり」の歌の一部をこれまでに習った「ひらがな」で書きました。
研修生全員、その出来栄えに満面の笑みを浮かべました。
講師による説明 |
練習する研修生 |
練習する研修生 |
色を塗る研修生 |
色を塗る研修生 |
上手に出来ました(写真が大きくなります) |
[2012年3月2日] 夜間日本語講習修了証授与
研修生は、宿泊施設でもある広島国際センターにおいて、約1年間に渡り夜間日本語講習を受けて来ましたが、全員優秀な成績で修了し、お世話になった講師の方々から、修了証書と記念品を受け取りました。昼間の研修に疲れた中、1年という長い期間、週1回の夜間研修に出席し、この日を迎えたものです。
修了に当たり、研修生は一人ひとり、習い覚えた日本語を使い、一年間の感想を発表しました。
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