平成23年度研修の記録
平成24年度研修の記録
プログラムの実施状況 研修生の生活
平成24年度研修生
国 | 組織 | 年齢 | 性別 | 階級、職名等 |
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インドネシア | 海運総局 | 27歳 | 女性 | 国際船舶及び港湾施設保安コード審査官 |
マレーシア | 海上法令執行庁 | 27歳 | 男性 | 海上保安部オペレーション担当官(大尉) |
27歳 | 男性 | 海上保安部オペレーション担当官(大尉) | ||
フィリピン | 沿岸警備隊 | 34歳 | 男性 | 長官秘書(中尉) |
34歳 | 男性 | 長官秘書補佐官(中尉) | ||
ベトナム | 海運総局 | 31歳 | 男性 | 捜索救難調整センター捜索救難部部長 |
海上警察 | 34歳 | 男性 | 第4方面本部海上警察官(大尉) | |
日本 | 海上保安庁 | 27歳 | 男性 | 三等海上保安正(少尉相当) |
26歳 | 男性 | 三等海上保安正(少尉相当) |
平成24年度プログラム実施状況
月日 | 実施内容 |
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4月16日 | 研修生来日、オリエンテーション |
5月7日 | 開講式 研修開始 |
6月2日-14日 | 東京地区現地研修、海上保安庁訪問、日本財団訪問、集中講義 |
7月25日-27日 | 鹿児島地区現地研修 |
9月17日‐21日 | 沖縄地区現地研修 |
10月1日-4日 | 関西地区現地研修 |
10月14日~11月1日 | 関東地区現地研修、日本財団訪問、防災研修 |
12月17日-21日 | 練習船乗船研修、門司地区現地研修 |
2月4日-7日 | 北海道地区現地研修 |
3月6日 | レポート発表会、 閉講式、研修終了 |
3月8日 | 海上保安庁 日本財団 研修修了報告 |
3月9日 | 離日 |
[2012年4月16日] 研修生来日
アジア4カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、及びベトナム)からの海外研修生が来日しました。
研修生は関西空港に到着した後、バスにより約4時間かけて、生活施設であるひろしま国際プラザに到着しました。
研修生来日 |
研修生来日 |
研修生来日 |
研修生来日 |
研修生来日 |
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桜満開のひろしま国際プラザ |
ひろしま国際プラザに到着 |
施設内での生活について説明を受ける |
[2012年4月17日] オリエンテーション
研修生は生活施設であるひろしま国際プラザにおいて、オリエンテーションを受けました。
オリエンテーションでは、来日のための長旅の疲れもみせず、研修指導員などによる研修の概要や施設での生活などについての説明を熱心に聞いていました。
プログラムオリエンテーション |
プログラムオリエンテーション |
館内見学 |
[2012年4月22日] 研修生全員が揃う
直前に体調を崩し渡航が遅れていた研修生が元気に来日し、他の研修生と合流しました。
到着 |
[2012年5月7日] 開講式開催
第二回アジア海上保安初級幹部研修の開講式が、海上保安大学校で開催されました。
瓜生晴彦大学校長による研修生指名及び訓示、岸本邦夫海上保安庁総務部長、及び石橋幹夫(財)海上保安協会理事長の挨拶の後、研修生を代表し、マレーシア海上法令執行庁のアヌア研修生が宣誓を行い、研修開始にあたっての決意を表明しました。
海上保安大学校長訓示 |
海上保安庁総務部長あいさつ |
海上保安協会理事長あいさつ |
研修生代表宣誓 |
研修生集合写真 |
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研修生は、開講式の前に開催された海上保安大学校学生との対面式では、それぞれ来日後に習った日本語で自己紹介するとともに、在校生代表から歓迎の言葉を受けました。
また、開講式に引続いて行われたオリエンテーションでは、海上保安大学校で研修を受けるに当たっての注意事項等の説明を受け、その後、図書館等校内施設を見学しました。
対面式 |
オリエンテーション |
図書館見学 |
夕刻には、歓迎レセプションが開催され、海上保安大学校教職員、学生、研修生とで、楽しいひと時を過ごしました。
研修生はひとりひとり、来日後に習い覚えた日本語で自己紹介をしました。
日本語で自己紹介 |
大学校長と歓談 |
学生と歓談 |
学生と歓談 |
学生と歓談 |
学生と歓談 |
参加者集合写真 |
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研修生は開講式に先立ち、世界一周の練習航海に出港する海上保安大学校の練習船こじまを見送りました。
こじま見送り |
こじま見送り |
こじま見送り |
[2012年5月8日] カントリー・ジョブレポート発表会
開講式の翌日から、海上保安大学校での本格的な研修が始まりました。
オープニングは、各国研修生によるカントリー・ジョブレポート発表会で、研修生は予め準備してきた自国の海上保安事情について発表し、活発な質疑応答がなされました。
熱心に発表する研修生 |
説明用スライド |
質疑応答も活発に |
説明用スライド |
日本人研修生も発表 |
説明用スライド |
自国の海上保安現況の発表 |
説明用スライド |
業務体験も発表 |
説明用スライド |
発表に聞き入る参加者 |
説明用スライド |
熱の入った発表です |
説明用スライド |
初参加国(ベトナム)からの研修生 |
説明用スライド |
初参加国(ベトナム)からの研修生 |
説明用スライド |
[2012年5月16日] WMU(世界海事大学)学生と交歓する
研修生は、国際海事情報の取得と情報交換を目的に、海上保安大学校を訪問したスウェーデンのWMU(世界海事大学)の学生27名と、海上保安大学校内の煉瓦ホールにおいて交歓会を持ちました。
今回来校したのは、海洋政策研究財団(OPRF)の助成によりアジア、アフリカ諸国からWMUに留学している学生で、5月13日から5月20日まで、日本研修として、我が国の海事関係施設、海上保安関係施設を訪問し、その実態を学ぶために来日しているものです。
交歓会では、双方すぐに打ち解け、活発な意見交換がなされるなど大いに親睦を深めることができました。また、最後には同校学生によるWMUの校歌が披露され、予定していた時間があっという間に過ぎてしまいました。
自己紹介から始まりました |
懇談風景 |
懇談風景 |
懇談風景 |
WMUの校歌を歌ってくれました |
最後にみんなで集合写真です |
[2012年5月23日] カッターに挑戦
研修生は、カッターを体験しました。先日行われた全日本カッター競技大会で優勝した海保大女子クルー、惜しくも準優勝であった男子クルーの指導を受け、カッターに臨みました。
最初は長く、太く、重いオールの扱いに四苦八苦した研修生も、30分程度の練習の後、独自に作った「ワン」、「ツー」、「スリー」の掛け声とともに、息の合ったオールさばきを見せ、呉湾のクルーズを楽しみました。
カッター体験を通じ、海上保安機関の初級幹部に必要なリーダーシップ、気力、体力、協調性の重要性を感じ取ることができました。
けがをしないよう、しっかりと準備体操 |
乗艇。いざ、出港です |
エンジントラブル?発生 |
掛け声に合わせ、オールさばきもそろってきました |
指導していただいた海保大学生とともに |
海上保安大学校学生の感想
今回の体験は、普段からなじみのあるカッターを通じてAJOC研修生の方々と交流を持つことができ、良い経験となりました。参加していただいたことへの感謝ももちろんですが、特に、研修生の方々にカッターへの興味を持っていただいたことに何よりうれしく思っています。短い時間ではありましたが、今回の交流会はAJOC研修生と本科学生とのコミュニケーションの良い機会となりました。ありがとうございました。 (本科第4学年 對馬 浩介) |
5月23日、カッター部に所属している学生5名とAJOC研修生9名でカッター体験を行いました。カッターは日本においてかつて救命艇として使用されていたもので、日本人研修生2名を除き、ほとんどの研修生にとっては全くなじみがなかったと思います。約1時間の短い体験でしたが、学生が実際に展示等を行うことで、カッターがどのようなものか少しでも研修生に知って頂くことができたと思います。また、カッターを通じて研修生と交流を図れたことは大変有意義であったと思います。 (本科第3学年 簀戸 典文) |
[2012年5月23日] カッター!素晴らしい体験
カッターを漕がずにスポーツを愛するというなかれ!
カッターはそれだけで、あらゆる種類の運動をしているのと同じです。何故?カッターを漕ぐと、重量挙げと腹筋運動をしているように、体のすべての筋肉を使います。オールは10キロぐらいあり、それを重量挙げのように上下させ、また海の中に入れたり、出したりしなければなりません。それと同時に、腹筋運動をするように体を前後に動かします。
それですべて?簡単!!おそらく重量挙げの選手ならそう答えるでしょう。でも、ちょっと待って下さい。そんなに簡単に片づけないで下さい。カッターを漕ぐということには、まだ違う側面があります。それは何かというと、頭脳と聴覚です。
すると次の質問が出てくるでしょう。カッターを漕ぐのに何故頭脳を使うの?オールを動かせば、カッターは進むでしょうと答える人もいるでしょう。しかし、他のクルーとオールをきっちり合わせるためには、頭脳を使わなければなりません。そうしないと、カッターはひとつの方向へ動きません。一手ごとに頭脳を使って作戦を立てるチェスと同じようなものです。
そして残りは、聴覚です。何故かというと、すべてのクルーが、艇指揮の号令を注意深く聞く必要があるからです。例えば、漕ぎ始める時、あるいは速力を上げる時などです。号令だけではありません。「がんばって!」と励ます大きな声を聞き、クルーは元気を取り戻すのです。
しっかりと準備体操 |
乗艇 |
心をひとつにして |
素晴らしい体験 |
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[2012年5月24日] 総合防災型巡視船を見学
研修生は、海上保安大学校で実施されている潜水技術課程(潜水研修)の支援のため、高松海上保安部から派遣中の巡視船“くまの”を見学しました。
"くまの”は、1974年東京湾で発生したタンカー衝突火災事故を契機に建造され、1979年に竣工した総合防災型の巡視船です。船橋マストに取り付けられた3基の放水銃が特徴的な船で、通常の警備救難業務に加え、タンカー火災や油流出事故にも対応でき、且つ、曳航能力も強化されています。
“くまの”ならではの搭載装置・器具等の説明が行われました。このような総合防災型の巡視船は研修生にとっても珍しく、熱心に質問していました。
乗船前にご挨拶 |
能力強化された曳航設備の説明 |
マストに装備された3基の放水銃 |
火災船の曳航器具説明 |
搭載艇の説明 |
オイルフェンスの説明 |
船は古いが計器は最新です |
くまの幹部との記念写真 |
また、当日は、研修のため大学校に寄港中の門司海上保安部所属の巡視艇“はやなみ”も見学することができました。
潜水器具の説明のほか日頃の業務についても説明を受け、研修生にとっては海上保安庁の対応業務を肌で感じることのできた一日となりました。
はやなみ職員による潜水器具の説明 |
はやなみ操舵室装備の説明 |
[2012年6月3日] 観閲式と総合訓練を見学しました
研修生は、東京地区における現地研修の一環として、海上保安庁の観閲式及び総合訓練を巡視船そうや船上から見学しました。
当日は、観閲式に先立ち巡視船そうや船内を見学し、色々な施設、設備について説明を受けましたが、船齢が自分達よりも多い34歳と聞き、よく手入れの行き届いている船だと、感嘆の声を上げていました。
観閲式では、巡視船艇、航空機の整然とした船隊運動を、総合訓練では人命救助・海上防災訓練、密輸容疑船捕捉・制圧訓練などを熱心に見学しました。
いずれの国の海上保安機関も、その訓練を公開で実施しているところはなく、「市民に見てもらうことにより、業務への理解が得られるだろう」という感想を述べていました。
また、総合訓練の中では人命救助訓練と密輸船捕捉訓練が最も強く印象に残ったようで、「装備の整った巡視船、航空機で業務を実施したい」という話も聞かれました。
研修生が今回の観閲式及び総合訓練において、海上保安庁の代表的な海上・航空勢力と、救難・防災、警備等の現場業務を目にしたことにより、今後の研修にさらに弾みがつきました。
観閲船の前で記念撮影 |
巡視船そうや乗船 |
観閲式を見学 |
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ヘリコプター編隊飛行訓練を見学 |
人命救助訓練を見学 |
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フェアウェルで手を振る研修生 |
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[2012年6月4日] 海上保安庁幹部を表敬訪問しました
研修生は、東京地区での研修開始にあたり海上保安庁の幹部を表敬訪問しました。
最初に、海外の研修生は来日後習い覚えた日本語で、日本の研修生は英語で、鈴木長官、桝野次長、岩男警備救難監、及び岸本総務部長に対し、自己紹介をするとともに、研修に参加する機会を得たことへの感謝の言葉を述べました。
これに対し、鈴木長官から、研修を通じて知識を得ることはもちろん、各組織間の絆を深めて欲しいという激励の言葉がありました。
この後の懇談の中では、前日見学した観閲式の事が話題に上り、研修生からは、統制のとれた訓練を称賛する声が相次ぎました。また、鈴木長官からは、一般の人に海上保安庁の姿を間近に見てもらい、理解してもらうことが重要であるという説明がありました。
最後に、インドネシアのチャニ研修生が、インドネシアのバティック(インドネシア特有の柄のオープンシャツ)を鈴木長官に贈り、表敬訪問を終了しました。
研修生はこの後、佐藤警備救難部長による「リーダーシップ」に関する講義を受講し、積極的な質問を行っていました。
日本語で自己紹介 |
長官から激励の言葉を受ける |
贈りもの |
幹部と記念写真 |
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警備救難部長講義 |
[2012年6月5日] 海上保安実務概論の集中講義始まる
研修生に対する海上保安実務概論の集中講義が、海上保安庁海洋情報部会議室で始まりました。
研修生は、6月5日から6月13日までの間、海上保安庁本庁各課の担当者から、海上保安庁が実施している業務全般について、体系的に説明を受けるものです。
初日の5日は、海上保安庁の組織管理及び教育訓練制度について、詳細な講義を受けましたが、各研修生は、積極的に質問を行い、より多くの知識を習得したいという熱意が感じられました。
海洋情報部入口で記念撮影 |
集中講義始まる |
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[2012年6月13日] 日本財団海野常務理事を表敬訪問しました
研修生は東京研修の最終日に、日本財団の海野常務理事を表敬訪問しました。
最初に、研修生ひとりひとりが、来日後習い覚えた日本語で自己紹介をするとともに、有益な研修に参加させてもらっていることに対し、感謝の意を表しました。
次に、海野常務理事から研修生に対し、次のとおり期待の言葉が述べられました。
世界の海で起こっている問題は非常に大きく、さまざまな要素が絡まり合っていて複雑であり、一国の力では解決できない。また、一つの分野に関する専門知識だけでも解決することはできない。
このような問題に取り組むために、「海の世界の人づくり」として世界のさまざまな機関と連携して国際的・学際的な視野を持つ人材の育成を実施するとともに、そのような人材の国と分野を超えたネットワークを構築してきた。
研修終了後はそのような日本財団フェローのネットワークの一員として、世界の海をとりまく問題の解決に貢献して欲しい。
プログラムを受講した成果の大きさは、研修の中で良い経験をしたり、良い成績を残すということではなく、帰国後の業務にどう役立てられるかということで測られる。それを常に考えながら研修を受けて欲しい。
また、単に母国で役立てられる経験、知識を身に付けるということだけではなく、研修生同士はもちろん、プログラムをサポートしてくれている人との関係を構築することも成果であると考えられる。
先ほどの話と逆の視点になるが、このプログラムへの参加を通じて、日本財団のネットワークを、もともとみなさんが持っているネットワークに加えてほしい。そして、帰国後にそれを積極的に活用してほしいと考えている。
研修が修了する8ヶ月後には、一層たくましくなった皆さんに会えることを楽しみにしている。
海野常務理事を表敬訪問 |
研修生が日本語で自己紹介 |
海野常務理事から期待の言葉を受ける |
海野常務理事と記念写真 |
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[2012年6月15日] 逮捕術訓練始まる
研修生は、学生・教官との交流活動の一環として、海上保安大学校の訓練部訓練教官指導の下、逮捕術部学生の支援を得ながら、逮捕術の訓練を受けています。
海上保安庁の逮捕術は、既に東南アジア諸国の海上保安機関に専門家を派遣するなど各国のニーズに応じて普及指導を行ってきましたが、参加研修生は全員初めての経験で、帯の結び方から四苦八苦という状態でした。
しかし、数回の練習を経ると体の柔らか味が増し、次第に「らしく」なってきました。日本式武術への興味もあってか、一同積極的に取り組んでおり、逮捕技術の向上は勿論体力の向上、加えて教官・学生との良き交流の場になっています。
まずは帯の結び方から |
学生の支援を受けて稽古 |
制圧要領訓練 |
研修生、教官、学生との良き交流となっています |
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[2012年6月29日] 海上保安大学校国際交流プログラムに参加
研修生は、海上保安大学校で開催された国際交流プログラムに参加しました。
このプログラムは、米国沿岸警備隊士官学校、カナダ沿岸警備隊士官学校、韓国海洋大学校の3校から学生を招聘し、各国海上保安機関の将来の指導者同士の相互理解と親睦を図るために企画されたもので、平成4年から毎年開催されています。
AJOC研修生も合同会議に出席し、各国学生によるカントリーレポート発表を聴講し、「語学の大切さについて」というテーマのパネルデスカッションに参加して意見交換をしました。また、日本文化体験では、邦楽同好会学生による箏、尺八、三弦といった和楽器の演奏や、茶道、折り紙など趣向を凝らした日本文化の紹介があり、その後、研修生も招聘学生と一緒に学生の指導によりお茶や和楽器等に挑戦しました。
会議は同じ海上保安という志を持つ者同士、すぐに打ち解け、終始和やかに且つ友好的に進行しました。海上保安大学校学生との交流に加え、北太平洋沿岸主要国海上保安機関の学生と交流を図る貴重な機会が得られたことは研修生にとっても大いに意義のある会議となりました。
会議風景 |
会議風景 |
日本文化体験 |
日本文化体験 |
日本文化体験 |
集合記念写真 |
[2012年7月5日-6日] 初動捜査実習
研修生は、実務系実践科目の一つとして、海上保安庁刑事課の講師と広島海上保安部の巡視艇(鑑識業務指定船)の乗組員により、犯罪捜査の基本である初動捜査の実習を行いました。
初日は、初動捜査の意義、手順、注意事項等について講義が行われ、翌日は室内に犯罪現場を模擬設定してより実践的な実習を行いました。
実習は、立ち入り禁止区域の設定から始まり、現場保存、被疑者や参考人に対する事情聴取、写真撮影の基本、血液採証、各種方法による指紋採証、足跡採証等について実務的な手順が一つ一つ丁寧に説明されたのち研修生が実際に行ってみるという形式で行われ、初動捜査の意義と大切さの良く分かる実習となりました。
初動捜査手順の実践的な講義 |
写真撮影の基本 |
血液採証の注意事項 |
指紋採証訓練 |
[2012年7月3日] 制圧術訓練
海上保安庁では、抵抗する被疑者を逮捕する際、「制圧術」という技術を使用します。この技術は格闘技のように相手を攻撃することが目的では無く、あくまで「安全に相手を制圧するため」の技術です。つまりは、無駄な動きは必要なく、最小限かつ迅速な対応での被疑者逮捕が求められる技術です。この思想のもと、我々AJOC研修生はこの制圧術訓練に参加しています。これまで、私たちは「受け身」、「離脱」、「関節技」等の技術を学びました。「受け身」、「離脱」は攻撃から防御する技であり、「関節技」は相手の関節を折り曲げ、制圧する技術の一つです。
訓練中我々は「道着」と呼ばれるユニフォームを着用します。ある参加者は道着が「まるで寿司職人みたいだね。」と嬉しそうに話していました。
今回の訓練を通して、海外の参加者の皆さんが海上保安庁の制圧術の特徴を知るとともに、同種の業務に従事する仲間としての共通認識が持てればよいと思います。
女性陣も頑張ります |
道具を使った制圧練習 |
道具を使った制圧練習 |
[2012年7月25日-27日] 鹿児島現地研修
研修生は、現地研修の一環として、2泊3日の予定で鹿児島地区を訪問しました。初日は、午前中広島から鹿児島に移動し、午後川内原子力発電所を訪問しました。現在日本の原子力発電所は大飯原子力発電所の2基を除いて運転していませんが、実際に原子力発電所を訪問し、原子炉本体と同じカット模型を見ながら原子炉の構造を理解し、施設内見学ではコントロールルームや設備操作訓練施設を見学するとともに各種安全対策について説明を受けました。研修生は、昨年の福島原発の事故を教訓とした地震・津波・外部電源喪失等に対する安全対策について特に大きな関心を示していました。
原子力発電所概要説明 |
カットモデルで炉心の説明 |
翌日は、我が国最大の石油備蓄基地である、JX日鉱日石石油基地(喜入基地)を訪問しました。広大な敷地に整然と並ぶ巨大なタンク群を見ながら構内を見学し、備蓄のみならず、国内への積み替え機能についても学ぶことができました。また、大型化学高所放水車などの火災対策、防油・環境対策など大型施設で施されている防災の現場を見聞することができたことは貴重な経験でした。
備蓄基地概要説明 |
荷役中のタンカーと噴煙を上げる桜島 |
備蓄基地の大型特殊消防車 |
最終日は、第十管区海上保安本部警備救難部長から、多数の離島を管轄区域とする十管本部の業務の特殊性について業務講話がありました。離島を多く抱える国の研修生からは、台風や地震など災害発生に備えた地方行政機関と海上保安庁との普段の協力関係等について熱心な質問が相次ぎました。
警備救難部長講話 |
警備救難部長講話 |
今回は、原子力発電所あるいは石油備蓄基地といった国家のエネルギー政策の根幹をなす大型施設の防災対策と海上保安庁の役割というレベルの高い課題の現地研修でしたが、普段では立ち入りの難しい施設を見学できたことは研修生にとって貴重な経験となりました。
また、研修生は、第十管区海上保安本部主催の歓迎会に招待され、職員と一緒に踊りを踊るなど熱烈な歓迎を受けました。管区本部の職員とも親しく懇談する機会が得られ研修生一同大感激でした。
十管本部職員による研修生歓迎レセプション |
[2012年8月11日] 練習船こじま帰港 -マレーシア海上法令執行庁職員をのせて-
練習船こじまは、3カ月の世界一周遠洋航海を終え、雨の降る寒い土曜日に、無事海上保安大学校へ帰って来ました。こじまの帰港は、多くの人から心待ちにされていました。こじまが桟橋に近づくと、出迎えの人々の表情が喜びで輝いているのがわかりました。こじまは、海上保安大学校長をはじめ、副校長や教官、職員の方々の出迎えを受けましたが、なんと言っても、到着を一番喜ばれたのは、乗船していた実習生のご両親たちです。
こじまの到着を、私とAnwarさんも心待ちにしていました。なぜなら、私達が所属するマレーシア海上法令執行庁から4名の職員が海上保安庁に招かれ、シンガポールから呉までの10日間、実習生たちとともに航海訓練を受けるためこじまに乗船していたからです。私たちは桟橋から、誇りと喜びを持って、彼らに手を振りました。午前9時ちょうどに、こじまは無事に接岸し、帰港式が行われ、私達も参列しました。こじまの船長と実習生代表の挨拶のあと、瓜生晴彦校長が歓迎の言葉を述べると共に、こじまの世界一周航海関係者への感謝の意が表わされました。
式のあと、マレーシアの友人たちと再会し、航海中の訓練やその他の経験について話を聞きました。彼らは、訓練設備のととのった大型の練習船に乗船し、色々な知識を得る機会を持てたことに、大変満足し、喜んでいました。その後、山地教授の案内で、彼らと一緒に海上保安資料館や体育館などの学内施設を見学しました。我々はそこで、逮捕術の授業で習った技をいくつかやってみせました。こじまの船内も見学しましたが、ここでは、同僚たちが私たち案内をしてくれました。彼らが、船内の設備について学んだことを私たちに教えてくれたのです。その日のすべての行事を終え、マレーシアに帰国する前にJICA横浜の研修を東京で4日間受けるため、彼らは出発しました。
マレーシア海上法令執行庁の職員、特に若い職員にとり、本研修のようなプログラムは大変有益であると感じました。習得した知識や経験は、所属機関内で共有されます。本研修プログラムが、海上保安庁とマレーシア海上法令執行庁との年間行事のように、継続して行われることを期待しています。
こじまの到着を待つ人々 |
遂に、こじまが無事到着 |
こじま船上のマレーシア海上法令執行庁職員 |
記念撮影 |
学内施設見学 |
こじま機関室見学 |
[2012年8月27日] HNS(危険物質及び有害物質)燃焼実験
私達AJOC研修生は今、「危険・有害物質」の適正な管理方法及び事故が起こった際の対処方法について、授業を受けています。 実験について説明を受ける 薬品取扱いの説明を受ける 薬品をタンクに移す 記録的な大型台風16号の接近により欠航が心配された沖縄研修でしたが、なんとか運良く広島空港を出発し、台風一過の晴れ晴れした那覇空港に到着することができました。 本部長への表敬訪問 人事課長による業務説明 翌日は那覇航空基地を訪問しました。午前中は業務統括管理官による業務概要の説明があり、その後、格納庫に移動し、ボンバルディア、アグスタといった比較的最近配属された固定翼機、回転翼機を見学することができました。次いで、模擬訓練施設において、機動救難士による実践さながらのホイスト降下による救急救命訓練を見学しました。研修生からは、機動救難士の資格、役割等について熱心な質問がありました。
業務統括管理官による業務概要の説明 ヘリコプター(アグスタ)の見学 機動救難士による救急救命訓練 海上保安関連部署見学の最後に、中城海上保安部を訪問しました。初めに海上保安部次長による業務概要説明があり、各種海上犯罪対策、海難救助などの説明がありました。また、海上警備に関する訓練状況の見学として、制圧術訓練の見学と体験指導や高速ゴムボートの体験乗船も行いました。
海上保安部次長による業務概要説明 制圧術体験訓練 高速ゴムボート体験乗船 以上の通り、今回の沖縄現地研修では、第十一管区の格別な配慮により滞りなく日程を消化することができましたが、同時進行で緊張する海上保安の現場を報道により確認しながらの研修であったため、研修生にとっては得るものが多い研修となりました。 国際海洋環境情報センターでの水圧実験 沖縄美ら海水族館にて 首里城にて おきなわワールドにて 9月17日から21日までの間、私達は第十一管区海上保安本部が所在する沖縄本島へ研修に行ってきました。第十一管区はその担任水域に尖閣諸島を有しており、私達は研修を通して同島を巡る緊迫した情勢を肌で感じることとなりました。 本部長への表敬訪問 人事課長による業務説明 ヘリコプターの見学 機動救難士による救急救命訓練 制圧術体験訓練 高速ゴムボート体験乗船 国際海洋環境情報センターでの水圧実験 首里城にて 私達AJOC研修生は今、「危険・有害物質」の適正な管理方法及び事故が起こった際の対処方法について、授業を受けています。 実験について説明を受ける 薬品取扱いの説明を受ける 薬品をタンクに移す アジア海上保安初級幹部研修も10月からいよいよ後半に入りました。研修後期の最初に計画された関西地区現地研修は、台風一過、秋らしい清々しい気候の中で、関西空港海上保安航空基地、神戸大学海事科学研究科および海上保安学校を訪問しました。 関西空港海上保安航空基地業務概要の説明 機動救難士による救急救命器具の説明 航空機の説明 翌日は、神戸大学海事科学研究科を訪問し、日本の海事教育等について学びました。神戸大学海事科学部は、旧神戸商船大学の流れを汲んでおり船員教育もしていますが、今回は大学の練習船“深江丸”を見学するとともに、学生・OBの支援を受け、船員教育で最も大切なリーダーシップを涵養するための手段として大切にしているというヨットによる帆走も体験しました。 神戸大学海事科学研究科の概要説明 練習船深江丸の見学 ヨットでの帆走体験 神戸大学のスタッフと記念写真 関西地区研修の最終日には、海上保安学校を訪問しました。最初に学校長を表敬訪問しましたが、学校長には、海上保安庁職員の約70%を教育する学校教育の重要性について分かり易く説明していただき、一同大感激でした。その後、校内施設及び授業見学をしました。キビキビした学生の授業態度や充実した校内施設・練習船“みうら”等を見学した研修生の感想は、海上保安庁の人材育成にかける姿勢や情熱が大いに参考になるというものでした。
海上保安学校を訪問 学校長を表敬訪問 海上保安学校の概要説明 授業見学 練習船“みうら”の見学 また、帰路、京都に寄り、京都御所と二条城を見学し伝統的な日本文化の一端に触れることもできました。
京都御所を見学 二条城にて 研修生の関東地区の現地研修は、海上災害防止センター(横須賀)での消防・油防除研修で始まりました。 これから海上災害防止センターでの研修です 研修開始に当たり所長の激励 初めに教室で、火災のメカニズム、消火の原理、各種消火器材等について、分かりやすい実験を交えた講義により消火・防火の基礎知識を学び、次いで、実際に現場で使用する消火資機材や、SCBA(呼吸器具)等を用いた消火方法や戦術を、より実践的に学び、現場実習の準備としました。 燃焼原理の講義 各種消火器の説明 消防実習は、東京湾の人工島(第二海堡)にある消防演習場で行われました。消火器による初期消火実習の頃は少し腰が引けていましたが、ホース・ノズルの取り扱い方法を学び、びしょ濡れになりながら巨大な炎と煙を揚げる油火災消火に取り組む頃は、次第に少し顔つきが変わってきました。 消火器による初期消火 放水ノズルの取り扱い方法 写真をクリックすると大きくなります 噴霧放水の先に虹がかかる 巨大な油火災の消火 写真をクリックすると大きくなります 機関室火災、船室火災消火実習とレベルが上がるに連れ、指揮官の号令に対する反応やチームワークも良くなり、大きな声を掛け合いスムースな消火活動ができるようになりました。 機関室火災消火実習 燃え盛る機関室突入 写真をクリックすると大きくなります ガス火災消火実習 油火災とガス火災同時発火の消火実習 写真をクリックすると大きくなります 消火実習の最後は、油火災が発生し甲板の亀裂から油が流出して火が広がったという想定に対し、研修生が指揮官となり、すべての消火計画を研修生が立てて消火作業をするというドリルでした。苦戦しながらも見事なチームワークと指揮により最後には「ノー ファイア」という指揮官の号令を聞くことができました。 研修生を指揮官とする消火方法の作戦会議 立てた作戦による消火の実践 厳しい訓練後の達成感 写真をクリックすると大きくなります 研修最終日は、流出油事故への対応と流出油の処理についての講義の後、海上災害防止センター前面海域で流出油の拡散を防止するためのオイルブーム展張実習を行いました。手作業でのブーム展張は大変ですが、消火実習で培ったチームワークを生かし、綺麗にブームを展張することができました。 オイルブームの展張実習 美しく展張することができました 全ての研修終了後、最終試験が実施されましたが、全員立派な成績で修了証書を受領することができました。研修生にとっては、消防・油防除の実務とともに、危険作業に伴うチームワークの大切さ、指揮官の判断力・決断力の大切さ等学ぶことの多い研修となりました。 真剣に取り組む最終試験 立派な成績で見事研修修了 写真をクリックすると大きくなります 研修生は関東地区現地研修の最後に、日本財団の海野常務理事を表敬訪問しました。 日本財団海野常務を表敬訪問 海野常務に研修の状況を報告 海野常務理事を囲んで記念写真
厳しかった災害防止センターでの5日間に亘る防災研修を終えた研修生は、滞在先を横須賀から横浜に移動し、第三管区海上保安本部を中心とする関連部署並びに船艇での研修を実施しました。 東京湾海上交通センターの業務概要説明 管制卓での航路管制の説明 第三管区海上保安本部では、本部長を表敬訪問しました。本部長からは、管区内の諸施設をよく見学し、実りの多い研修になるようにとの激励をいただきました。その後、消防機能強化型巡視艇“はまぐも”と災害対応型巡視船“いず”を見学しましたが、通常の巡視船としての機能に加え特殊目的を併せ持つ巡視船艇のあり方は、研修生にとって大いに参考となりました。
第三管区海上保安本部長表敬訪問 巡視船“いず”の船橋 横浜海上保安部では、保安部長を表敬しました。部長からは、現在日本は尖閣諸島の問題があり、コーストガードの問題を勉強するには大変良い機会なので、このチャンスを生かし大いに学んで帰って欲しいとの激励をいただきました。また、横浜海上保安部に附設されているプール、射撃場、柔道場等の訓練施設、防災・災害対応施設等を見学しましたが、充実した機能・施設は研修生にとって大いに勉強になりました。横浜機動防除基地では、大規模災害発生時に海上に排出された油や危険物等の防除措置、海上火災に対する対応等の手続きや実際の資機材を用いた説明により、防災に対する知識も深まりました。
横浜海上保安部長表敬訪問 横浜海上保安部付属訓練施設 機動防除隊員の携行資機材見学 ガスマスクの取り扱い方法 海上保安横浜資料館では、2001年12月に九州南西海域事件で自爆した北朝鮮工作船を見学しました。一見漁船のようですが、巧妙に工夫された船体構造と不釣り合いなほど大量に積載された武器に関心が集まりました。この日の午後は、第三管区海上保安本部情報通信課の指導により、ヘリコプターで撮影した動画を、リアルタイムで陸上局に伝送するシステムの擬似実験を行いました。可搬型であることや鮮明な映像が得られることなどから、今後の海上警備・救難・災害等海上保安の分野では有力なツールになるという確信が持てました。
海上保安資料館横浜館(工作船)見学 画像伝送システム実習(アンテナ追尾実験) 研修生は、横浜地区での約一週間の研修を終え、東京に拠点を移動しました。 海洋情報部(海図の製作過程)の見学 水路情報の提供について 海上保安庁総務部長表敬 教育訓練管理官講義(リーダーシップ) 海上保安庁試験研究センター(立川市)では、国際犯罪捜査業務研修を実施し、船舶の小さな塗膜片から成分を分析して船舶を同定する実習、薬物の予試験実習、紙幣やパスポートの真偽判定など科学捜査の基本を学ぶことができました。
海上保安試験研究センター(塗膜片の識別) 薬物の予試験実習 羽田航空基地では、業務概要説明後格納庫に移動し、比較的最近配属された回転翼機並びに固定翼機の性能、装備機器等についての知識を深め、海上保安に於ける航空機の重要性を理解することができました。また、特殊救難基地では、隊員の日々の厳しい訓練に裏打ちされた、これまでの国内における救難活動実績とともに近年では国際緊急援助活動の実績も多く、また、アジアにおける同様組織への指導実績等の説明がなされ、研修生の評価も一段と高いものがありました。
羽田航空基地(吊り上げ体験) ガルフストリーム“うみわし”の機内 “うみわし”と一緒に記念写真 特殊救難隊の携行物品を見学 海上における法執行を主たる任務とする研修生は、広い海事関係の知識が必要です。(株)日本海洋科学では、海上交通安全に関するコンサルティング業務や、ECDIS(電子海図)研修、操船シミュレータ研修についての紹介があり、また、大井コンテナターミナル(日本郵船)では、世界を往来するコンテナ輸送の実態に触れることができました。
(株)日本海洋科学でのECDIS(電子海図)の模擬講習会 (株)日本海洋科学の操船シミュレータ 日本郵船東京コンテナターミナルの 300mを越す巨体にコンテナを満載して入港するコンテナ船 3週間に亘る関東地区現地研修は、海上災害防止センターでの厳しい防火訓練から始まりましたが、海上保安庁本庁組織並びに管区組織とその付属施設を訪れ、実体験として日本の海上保安庁を理解できたことは研修生にとりこの上ない収穫でした。また、本研修の目的の一つに海上保安庁職員との交流・相互理解がありますが、研修の合間に、本庁職員有志による懇親会が開催され、楽しく親睦を図る機会が得られたことも研修生にとっては思い出に残る研修となりました。
研修生は、「海上安全管理システム」の研修で、水中探査と水中安全管理技術の実習を行いました。これに先立ち、事前の講義では、海中を観測する手段として、音波の有効性や各種ソナー技術と応用例について学びました。また、水中音響映像装置(可視化ソナー)とその映像原理についての説明がなされていました。 船上で説明を受ける研修生 艤装された水中音響ビデオカメラ 画面に見入る研修生 画面に映し出された海底の魚礁群 研修生は講義終了後、呉市文化ホールにおいて、海上保安庁音楽隊の演奏を聞きました。 海保庁音楽隊の演奏会 美しい音色で聴衆を魅了 来日中のマレーシアのアブドゥル・ラヒム・フシン氏(首相府国家安全保障会議海上安全保障担当上級局長)が、海上保安大学校を訪れました。 ラヒム氏による講義 講義後の質疑応答 呉市立吉浦中学校を訪問 研修生は11月26日、海上保安大学校の地元にある呉市立吉浦中学校を訪問し、約90名の生徒と交流活動を行いました。中学校訪問は、交流の場を通じて、各自が所属する組織や機関の所在する地域に対する社会貢献を含めた関係構築のあり方について考察することを目的として行われました。また、中学生にとっては、アジア諸外国とそこにおける海上保安業務への知識と理解を深め、コミュニケーションツールとしての英語に興味を持つ契機となることを目的として企画されました。 自国の歌を披露する研修生 校長室で記念撮影 呉市立両城中学校を訪問 研修生は12月6日、呉市立両城中学校を訪問し、新旧の生徒会役員12名との交流活動を行いました。研修生は、アットホームな雰囲気の中、スライドを使って自国の文化、料理、観光地などとともに、現在の海上保安の仕事などについて紹介しました。また、生徒たちにできるだけ理解してもらえるように、発表の中にクイズを入れ、当たった生徒には小さなプレゼントという工夫もしました。 自国について説明する研修生 練習船こじま体験乗船研修 研修生は、海上保安大学校で法執行を中心に知識や技能を習得するとともに各地の海上保安関連施設を訪れ海上保安庁の現場からも多くのものを習得していますが、今回の研修は、本科4学年の学生が実習中の練習船“こじま”に同乗し、海上保安庁の巡視船の日課を体験するとともに海上保安大学校が実施する練習船実習の要領と実態を理解することを目的として行われました。 乗船式(宜しくお願いします) マルロクサンマル(06:30)起床・体操 出港作業の見学 航海実習の見学 昼間の甲板作業実習見学とは別に、夜間実習の状況を航海・機関・通信の各課を巡回して見学したり、海上保安大学校練習船による教育についての特別講義が首席航海士から、また、ベテラン主任航海士を囲んで“人の育て方”をテーマとした懇談会などもありました。各国研修生も人材教育にはことのほか関心を持っており、海上保安庁を参考にして、自国の機関の人材育成はどうあるべきかに関する質問が多く出ました。 曳航訓練の見学 特別講義 また、乗船研修期間中は、起床から就寝までの日課や居住環境も学生と全く同様で、分刻みの研修の合間を縫って食事や入浴などがあり、且つ、配膳や後片付けも研修生自身が行うなど、終日時間に追われる研修生でしたが、規律正しく元気溢れる学生と生活を共有し、より体験的な実習ができたことは、大きな思い出になるとともに、将来それぞれの国で人材育成に携わることも期待される研修生には得ることの多い研修となりました。 配膳も研修生 後片付けも学生と一緒に 乗船研修の最終日は別府で下船し、後部甲板で下船式が行われました。研修生を代表してベトナムから参加している研修生が挨拶をし、今回の乗船実習を体験して、日本の海上保安庁が世界でもトップクラスのコーストガードである理由が良く理解できた、自国に帰ったらこの経験を生かし、自分たちも立派な海上保安機関を作っていきたい”という感謝の言葉を述べました。
「危険・有害物質の事故」というと一般的には薬品会社や実験室内での事故を連想しがちですが、私達海上保安機関の人間にとっても十分関係のある事柄です。世界の海では、危険・有害物質を積載した多くの船舶が日々運航しており、いざその船舶が事故を起こした場合に対応するのは、今研修を受けている私達なのです。
先日は、この授業の一環として可燃性物質である「ペンタン」及び「アセチレン」の燃焼実験を行いました。これらの物質は、蒸発した際の気体濃度が濃すぎても薄すぎても燃焼を起こさず、一定の濃度でしか燃焼しない物質です。ですので、船舶内でこれらの物質が流出した際は、その時々での気体濃度を常に把握しておく必要があります。
今回の実験では20リットルのポリタンクを船舶のタンクと想定し、薬品を入れたポリタンク内に導線をつなげ、電流で着火するという方法により様々な気体濃度における燃焼の可否を調べました。少量の薬品で実験しているにもかかわらず、爆発と言えるような轟音をあげて燃焼するのを見て、これが実際の船舶事故ならば大惨事になると感じました。
私達はこの実験を通して、私達の任務の危険性を再認識するとともに、「危険・有害物質の事故」への対応能力向上の重要性を再確認することができました。
[2012年9月17日-21日] 沖縄現地研修
今回の研修では、第十一管区海上保安本部、那覇航空基地、中城海上保安部等を訪問しました。
第十一管区海上保安本部では、本部長を表敬訪問し研修生が一人ひとり自己紹介したのに対し、本部長からは歓迎の辞とともに、十一管区の業務についていろいろ学んで行って欲しいとの激励の言葉をいただきました。その後、人事課長による第十一管区本部の業務説明があり、十一管区の特性として広大な担任水域をカバーしていること、領海警備、密航密輸対策等管区特有の業務について説明がありました。研修生は、日本の最南端であるこの海域と自国との間にはある種の共通点も多いことから、熱心に耳を傾けていました。
また、研修生は海上保安関連部署の訪問の合間に、国際海洋環境情報センター、沖縄美ら海水族館、首里城、おきなわワールド等も訪問し、伝統的な沖縄の文化や歴史を学び且つ美しい沖縄の海を肌で感じることができました。
[2012年9月17日-21日] 沖縄現地研修
まず、研修生は第十一管区海上保安本部において真嶋本部長を表敬訪問し、その後、同管区の主要任務である尖閣諸島における警備業務に関する講義を受けました。本部長は業務多忙にもかかわらず私達との懇談に時間を割いてくださり、皆感激していました。また、講義においては、当庁がどのような体制で尖閣諸島の警備に当たっているかについて、皆が自国における海洋の境界をめぐる問題と比較しながら熱心に聴講していました。
翌日は那覇航空基地を訪問し、所属航空機および機動救難士の訓練を見学しました。多くの離島を抱える当管区において急患輸送等国民の生命を守る業務に従事する機動救難士の迅速かつ的確な救難技術に研修生は皆真剣に見入っていました。
研修4日目には、中城海上保安部と国際海洋環境情報センターを訪問しました。中城海上保安部では、業務概要について説明を受けたあと、海上警備訓練の一環として制圧術訓練を見学し、高速ゴムボートに体験乗船しました。制圧術訓練では、海上保安大学校での訓練の成果を保安部職員に披露しました。
最終日は、1872年の明治政府による琉球藩設置まで独自の発展を続けた琉球王朝の歴史と風土を学ぶために首里城を見学し、沖縄固有の歴史と文化を知ることができました。
本研修を通じて、私達は、6千以上の島から成る島嶼国家日本にとって、またそれ以上の島々から成る群島国家である東南アジア諸国にとって、離島地域というものが海洋における安全の確保にいかに重要な役割を担っているかを実感することができました。
[2012年8月27日] HNS(危険物質及び有害物質)燃焼実験
「危険・有害物質の事故」というと一般的には薬品会社や実験室内での事故を連想しがちですが、私達海上保安機関の人間にとっても十分関係のある事柄です。世界の海では、危険・有害物質を積載した多くの船舶が日々運航しており、いざその船舶が事故を起こした場合に対応するのは、今研修を受けている私達なのです。
先日は、この授業の一環として可燃性物質である「ペンタン」及び「アセチレン」の燃焼実験を行いました。これらの物質は、蒸発した際の気体濃度が濃すぎても薄すぎても燃焼を起こさず、一定の濃度でしか燃焼しない物質です。ですので、船舶内でこれらの物質が流出した際は、その時々での気体濃度を常に把握しておく必要があります。
今回の実験では20リットルのポリタンクを船舶のタンクと想定し、薬品を入れたポリタンク内に導線をつなげ、電流で着火するという方法により様々な気体濃度における燃焼の可否を調べました。少量の薬品で実験しているにもかかわらず、爆発と言えるような轟音をあげて燃焼するのを見て、これが実際の船舶事故ならば大惨事になると感じました。
私達はこの実験を通して、私達の任務の危険性を再認識するとともに、「危険・有害物質の事故」への対応能力向上の重要性を再確認することができました。
[2012年10月1日-4日] 関西地区現地研修
関西空港海上保安航空基地は、航空機のみならず巡視艇も運用するという海上保安庁でも特色のある海上保安航空基地ですが、業務説明では、警備救難課長からその特性を十分に生かした業務概要が紹介されました。その後、格納庫に移動し、機動救難士によるホイスト降下訓練や救命救急器具の取り扱いの説明を受け、航空機の見学をしました。研修生は、これまで訪問した海上保安部、航空基地と併せ海上保安庁における海上保安業務執行体制の多様さを学ぶことができました。
[2012年10月15日-19日] 海上災害防止センターでの防災研修
[2012年10月30日] 日本財団海野常務理事を表敬訪問
最初に、研修生ひとりひとりが、研修期間の半分を終え、次のような感想を述べました。
次に、海野常務理事から研修生に対し、次のような言葉が述べられました。
[2012年10月14日-11月1日] 関東地区現地研修
東京湾海上交通センター(東京マーチス)は、観音崎(横須賀)に設置され、日本で最も船舶の輻輳する東京湾を航行する船舶の航路管制・航行情報提供等を行っています。湾口である浦賀水道は、巨大船、危険物積載船を含む1日600隻以上の船舶が航行していますが、これらの船舶を安全に航行させるために、どのような努力が日夜重ねられているか、実際に管制の現場を見ながら実感することができました。
海上保安庁海洋情報部では、業務概要の説明とともに海図の製作過程、水路情報提供の現場及び海洋情報資料館の見学を行いました。
午後からは、海上保安庁本庁を訪れ、総務部長を表敬しました。総務部長からは、残りの研修での研鑽に期待するという激励の言葉がありました。
その後、教育訓練管理官による“リーダーシップ”の講義があり、学ぶことの多い一日となりました。
広大なコンテナヤードとガントリークレーン群
[2012年11月15日] 水中可視化ソナーによる水中安全管理技術の実習
冷たい風が吹く中、研修生は、海上保安大学校実習艇「いつもり」に乗船しました。呉湾において、実際に音響ビデオカメラにより海中にある物体の撮影を行い、操舵室内に設置された画面で、その姿を見ることができました。水中の視界が悪く、目視、あるいは従来の水中カメラでは確認が困難な状況でも、この装置を使えば、確認することができます。
この実習をとおして、水中音響ビデオカメラが、最新の水中音響映像装置として、水中探査、水中安全管理などの分野で、潜水調査作業に代わる有効な機材、方法になり得ることを、体験して確認することができました。
[2012年11月27日] 海上保安庁音楽隊の演奏に感動
このコンサートは、海上保安大学校の呉移転60周年と呉市制110周年を記念して開催されたもので、行進曲や、呉市ゆかりの曲が演奏され、会場では多くの市民が音楽を楽しんでいました。
海上保安庁音楽隊の活動は、海上保安庁の広報を目的のひとつとしています。研修生は、多数の市民が詰めかけた今回の演奏会を見て、その活動を身近に体験することができました。
昨年度本研修に参加した日本人修了生の一人は、現在、同音楽隊のメンバーとして活動しており、先輩の別の側面の活躍を見ることもできました。
[2012年11月30日] 特別講義 -マレーシア海上法令執行庁について-
AJOC研修生は、海保大の国際業務課程と一緒に、ラヒム氏による特別講義を受けました。講義では、マレーシア海上法令執行庁(MMEA)が設立に至るまでの経緯や、現在の運用、今後の展望、そして聴講生に期待することについて語られました。
研修生たちは、熱心に聴講していました。質疑応答でMMEA創設時の取り組みについての質問が出たのに対し、複数の機関からの出身者で構成された新たな組織を、ひとつにまとめていくことの難しさについて言及されました。
MMEAからの研修生2名は、いつもにも増して、熱心に聴講していました。
[2012年11月26日、12月6日] 呉市内の地元中学校を訪問しました
研修生は、各教室で、スライド等を使い、英語で母国の特徴や文化について紹介しました。質疑応答では、「好きなスポーツは?」「中学生の時に好きだった科目は?」等、中学生から英語で積極的に質問が出されました。インドネシアの研修生は、中学生の時に好きだった科目への質問に、「英語です。なぜなら、他国の言語を学ぶことは違う文化を理解することでもあるからです」と答えていました。
今回の中学校訪問は、校長先生との対話や生徒との交流を通じて、研修生にとっては、研修先である海保大が所在する呉地域への理解を促進するだけでなく、日本の将来を担う中学生の様子を知ることができる貴重な機会となりました。
質疑応答では、「自国の領土を守るということについてどのように考えていますか?」「仕事をする上で大切にしていることは何ですか?」、などの質問が生徒側から英語で出されました。各質問に対し、研修生は、ゆっくり丁寧な英語で答えました。
最後に、生徒代表から「今回の交流は、アジアの文化を知る上で大変ためになりました。特に、仕事をするうえで最も大切なことは、その仕事を好きになることと、仲間を信頼し、協力しあうことが一番大事だというお話を聞いて、これからの学校生活を送る上で大いに参考になりました」という、質疑応答における研修生からのコメントを踏まえた挨拶がありました。
今回の中学校訪問は、前回の吉浦中学校訪問に続いて2回目でしたが、研修生にとっては、日本の中等教育の現場を見聞できたことや、自分たちの仕事を次世代の若い人たちに理解してもらう方法についても学ぶことがあり、意義のある訪問となりました。
[2012年12月17日-21日] 練習船“こじま”体験乗船研修と門司地区研修
乗船期間は、呉から別府港までの3泊4日の間でした。冷たい風の吹く中、出入港作業、曳航作業、錨泊作業など危険を伴う甲板作業実習が行われましたが、張り詰めた緊張感が伝わる中で事故を未然に防ぎながら、教官や乗組員がどのように学生を教育しているのかを見学することができました
入港作業の見学 |
共に過ごした学生・教官と記念写真 |
門司地区研修
研修生は、翌日、門司海上保安部を訪問しました。門司海上保安部では、保安部次長から日本で最も船舶の輻輳する航路の一つである関門海峡を含む担任海域における海上交通の安全確保や近隣諸国からの密航密輸事犯などについての業務講話を受けるとともに、関門航路を哨戒する巡視艇に同乗して、複雑な狭水道航路を通行する船舶の実態を体験的に理解することができました。
門司海上保安部次長の業務講話 |
巡視艇”はやなみ”の乗組員と |
[2013年2月4日-7日] 北海道地区現地研修
研修生は、これまで沖縄から東京までの日本各地の海上保安部署並びに関連施設を訪問し、海上保安の現場を実体験的に学んできましたが、その締めくくりとして、今回は北の第一管区海上保安本部と根室海上保安部を訪問しました。南国育ちで雪国は初めての研修生は、一面銀世界の中、千歳から小樽まで凍えながら移動しましたが、第一管区海上保安本部では、本部長より激励と暖かい歓迎の言葉で迎えていただき心が温まりました。業務概要説明では、北の国境管区としての海上保安業務の説明がありましたが、研修生からは、北方四島に関する問題とそれら周辺海域での警備救難に関する質問が相次ぎました。
第一管区海上保安部 本部長表敬 |
業務概要説明 |
翌日は、海上保安庁が定期的に航空機で実施している流氷観測を見学するため再び千歳に引き返し、海上保安庁千歳航空基地からボンバルデア機に同乗しました。稚内半島北端から知床半島に至るオホーツク海の広い海域の流氷観測が行われましたが、上空から見る白い大陸のごとく広がる流氷原は迫力があり本当に凄さを感じさせるもので、研修生も海の多様さと冬の海難救助の困難さを肌で感じることができました。
搭乗するボンバルデア機 |
高度1,500フイートからの流氷観測 |
根室・中標津空港で降機後、研修生は根室に向かい、翌日、根室保安部を訪問しました。根室保安部では、部長を表敬した後、警備救難課長より業務概要説明があり、周辺海域での違法操業や薬物・武器の密輸、海難救助等、根室保安部特有の海上保安業務についての説明がありました。
保安部長表敬 |
警備救難課長の業務概要説明 |
また同日午後には、巡視船“くなしり”にも体験乗船しました。 今回の北海道研修は、日本では最も寒いこの時期らしく、行く先々での寒さは、南の国の研修生にとっては極めて厳しいものでしたが、訪問先の海上保安部署での心遣いにより暖かく且つ実りのある研修となりました。
巡視船“くなしり”の船橋 |
納沙布岬“北方館”にて |
[2013年3月6日] レポート発表会が行われました
海上保安大学校での研修最終日に、研究の成果を報告するレポート発表会が開催されました。
研修生は、研修期間をとおして、各自が選んだ海上保安に関するテーマについて、大学校教官や研修指導員などの指導を得て、研究を行ってきました。
発表会には、大学校教職員のほか、国際業務課程の研修生も参加しました。発表内容について、会場からは様々な質問が出ましたが、研修生はしっかりとそれらに答えていました。
発表する研修生 |
発表する研修生 |
質疑応答も活発に |
熱心に聴く会場の参加者 |
発表する研修生 |
発表する研修生 |
発表する研修生 |
発表する研修生 |
発表する研修生 |
発表する研修生 |
発表する研修生 |
[2013年3月6日] 第二回アジア海上保安初級幹部研修終了
第二回「アジア海上保安初級幹部研修」の閉講式が、海上保安大学校で開催されました。大学校長から、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナム、および日本の研修生9名それぞれに、修了証書と記念品が手渡されました。フィリピンの研修生は、特に成績が優秀だということで、優秀賞と記念品を受けました。
昨年5月7日に行われた開講式から10カ月を経た同研修が、無事に終了しました。
証書と記念品の授与 |
証書と記念品の授与 |
証書と記念品の授与 |
証書と記念品の授与 |
証書と記念品の授与 |
証書と記念品の授与 |
証書と記念品の授与 |
証書と記念品の授与 |
研修生一同 |
優秀賞と記念品の授与 |
大学校長式辞 |
記念撮影 |
閉講式後、記念撮影を終え、研修生歓送会が行われました。冒頭行われた副校長の挨拶では、長期の研修をやり遂げたことへの慰労と、研修を通じて構築された良好な関係を維持していくことの重要性、そして、各人の将来に向けた激励の言葉が述べられました。
また、これを受け、各研修生も挨拶を行い、そこでは一人一人が海上保安大学校で過ごした研修生活を振り返りながら思い出を述べ、受入側への感謝の気持ちと今後の抱負を語りました。
歓談中には、地元呉の「音戸の舟歌」が披露されました。研修中に親交を深めた出席者たちは、呉での最後のひとときを共に過ごし、別れを惜しみました。
副校長の挨拶 |
思い出を述べる研修生 |
音戸の舟歌に共演する研修生 |
全員で記念撮影 |
この写真をクリックすると大きくなります |
[2013年3月8日] 日本財団を表敬訪問
アジア初級幹部研修の研修生9名は、研修修了に当たり日本財団を訪問しました。研修生ひとりひとりが、荻上海洋グループ海洋安全・教育チームリーダーに、11か月近くにわたる研修の成果と、日本滞在中に培った強い絆を報告するとともに、日本財団の支援に対し謝意を述べました。
荻上チームリーダーからは、約1年間の研修をとおして、研修生全員が心身ともにたくましくなっているのが、その表情からも窺えるとの言葉がありました。また、身に付けた多くの知識や経験を、同じ仲間として、ひとつの海の安全のために貢献してほしいとの言葉が送られました。
研修成果を報告する研修生 |
研修生全員からの贈り物 |
日本財団会議室で記念写真 |
[2013年3月8日] 海上保安庁を表敬訪問
研修生9名は、最後に海上保安庁を訪問しました。長官、次長、警備救難監、教育訓練管理官を表敬し、研修実施状況の動画をまじえて研修の成果を報告するとともに、海上保安庁への謝意を述べました。
北村長官からは、研修の無事終了を祝う言葉が述べられました。研修をとおして、海上保安業務にかかる知識と技能を向上させただけでなく、培った仲間との絆を、帰国後も大切にして、人と人とのつながりをさらに広げ、今後の益々の活躍を期待するとの激励を受けました。
研修成果を報告する研修生 |
研修生全員からの贈り物 |
記念写真 |
[2013年3月9日] 研修生帰国
海外の研修生は、成田空港からそれぞれの国へ飛び立ちました。
ご安航を祈っています!
フィリピンへ |
マレーシアへ |
ベトナム・インドネシアへ |
平成24年度研修生の生活
月日 | 活動状況 |
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4月16日 | 研修生入館 |
4月23日 | 日本語講習始まる |
5月2日 | 花を生ける |
5月27日 | 運動会に参加しました |
5月31日 | ゆかた着付け教室 |
7月13日 | 折り紙の講習 |
8月17日 | お国の自慢を日本語で紹介 |
8月18日 | 西条盆踊り大会に参加 |
12月14日 | 絵手紙を送ろう |
1月7日 | 巻きずしとお好み焼きは、美味しかった |
3月1日 | 日本語研修修了 |
3月7日 | ひろしま国際プラザを退館 |
[2012年4月16日] 研修生入館
研修生は生活施設であるひろしま国際プラザに入館し、ひろしま国際センターのプログラムオフィサーから施設内での生活について説明を受けました。
桜満開のひろしま国際プラザ |
ひろしま国際プラザに到着 |
施設内での生活について説明を受ける |
[2012年4月23日] 日本語講習が始まりました
6日間の日本語集中研修が、始まりました。挨拶や自己紹介など、これからの生活に必要な日本語を習っています。教室外での実践活動も予定されており、みんな熱心に、取り組んでいます。
挨拶表現を覚えます |
日本語で自己紹介します |
贈物をもらった際には… |
[2012年5月2日] 花を活ける
研修生はひろしま国際プラザにおいて、日本文化体験の一環として生け花を習いました。
日本式の礼で始まり、また習った日本語で自分の感想や自己紹介を行うなど、華道の講習は、研修生の日本語学習の復習も兼ねていました。
作品はひろしま国際プラザのロビーに飾られ、華やかな雰囲気を漂わせました。
講習の始まり |
一心不乱に取り組みます |
一本ずつ大事に活けます |
講師の指導でさらにきれいに! |
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講師の指導でさらにきれいに! |
きれいに出来上がりました |
講師からほめられました |
[2012年5月27日] 運動会に参加しました
27日(日)、東広島市立御薗宇小学校で運動会が開催され、地域交流の一環として我々AJOC研修生も参加する機会を得ました。
研修生はパン食い競争やリレーなどに参加するとともに、インドネシアの伝統的な踊り“POCHO-POCHO-DANCE”を披露しました。
ダンス披露の後は、インドネシア出身のCANNY研修生が先頭となって、御薗宇小学校の児童に踊り方を教えて、児童との交流を楽しみました。
運動会には広島大学JICAボランティアの学生や留学生も多く参加しており、日本人研修生にとっても様々な国の方と交流を深めることのできた素晴らしい日となりました。
徒歩にて小学校へ |
開会式に参列 |
全力疾走する研修生 |
踊り方を教える研修生 |
全員で音楽に合わせてステップを踏みました |
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2012年5月31日 ゆかた着付け教室
日本に来る前、時代劇映画をよく見ていたので、日本の伝統的な衣服は、独特の形をした着物だけだと思っていました。しかし、来日後、その長い伝統と豊富さを知り、自分の考えが間違っていたことに気付きました。着物は、日本の伝統的衣装の中でも最もよく知られています。最近では、日本の人達は、特別な時にだけ着物を着ます。但し、夏には、「ゆかた」という、より簡単な形の着物をよく着ています。ゆかたは、夏用の最もカジュアルな着物で、他のものより簡単に着ることが出来ます。ゆかたは、男女共に愛用されている日本の夏の衣服です。
私は、興味深い独特な日本文化の一部を味わうために、一度ゆかたを着てみたいと思っていました。その機会は、ひろしま国際センターで実施している日本語クラスの中で巡って来ました。わたしたち研修生はまず、講師がゆかたを着るところを熱心に見学しました。次に着方の説明を受け、実際にゆかたを着てみました。講師の方々は、親切に手伝って下さいました。ゆかたは、大変美しい衣服でした。しかし、そんなにきつく腰の周りが締めつけられるとは、思いもしませんでした。私たちは伝統的な草履も履いて、立派ないでたちになりました。研修生は日本語を使って講師と話し、たくさんの写真も撮りました。研修生全員、ゆかたを着る体験ができ、大変得意な、また幸せな気持ちになりました。
皆さんも、一度試してみてはどうですか。簡単に着ることが出来、また着心地もとてもよいです。ゆかたを好きになること、請け合いです。伝統的なゆかたと日本文化を楽しみましょう。
ゆかたについて説明 を受ける |
ゆかたを着てみる |
講師の手助けで帯を締める |
ゆかたを着てみる |
着心地最高 |
講師と記念撮影 |
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2012年7月13日 折り紙の講習
研修生に子供の頃の記憶が甦る
雨の日に作って遊んだ紙の船や、できるだけ遠くへと飛ばして遊んだ紙飛行機のことを、誰もが覚えていることでしょう。それらは、私たちがまだ子供の頃によくやっていた遊びでした。今回私たちは「折り紙」というものを習い、紙を折ることが単に子供の遊びではなく、実は日本文化の一部であるということを知り、驚いています。
日本文化について更に深く学んでいく中で、「折り紙」というものは欠かすことができません。講師の先生は、一枚の四角い紙から、とうていできるとは考えもしなかった生きものを作る手順をひとつひとつ教えて下さいました。私たち研修生全員、大変楽しく、また熱中しました。
「折り紙」とは、簡単に言うと、紙を折る日本の伝統芸術で、一枚の紙から、切ったり、又は糊を使ったりせずに、何かしらの面白いかたちやものを作り出します。しかし、折り紙は見た目ほど単純ではなく、また子供のためのものというわけでもありません。それは、ずいぶん昔からある日本の文化と伝統であり、その素朴な工芸品の良さは、次の世代へと伝え受け継がれていかなければなりません。
アーティストがアイデアを表現するために電子メディアを使うこの時代に、技術分野では最も進んだ国のひとつである日本で、このような伝統的な工芸が継承されているのは大変興味深いことであり、私たちはそれを教えてもらうことができ、とても幸運でした。コンピューターから生み出されるおもちゃやアート作品があふれる中で、折り紙は私たちに紙に戻ることを教えてくれます。それはアイデアを練る際に、ノートを使ったり、スケッチブックにいたずら書きしたり、スクラップブックからアイデアを拾い集めたり、あるいは単にスケッチを描くようにです。
この折り紙の講習でお世話になったみなさん、どうもありがとうございました。日本の文化と伝統をさらに発見する旅を続けたいと思います。
これでいいのだろうか |
作品に全員で寄せ書き |
満悦の笑みで「よい出来です」 |
研修生からのメッセージ:すべての人に平和と統一を |
2012年8月18日 西条盆踊り大会に参加
研修生は、西条のバス停留所の近くで催された盆踊り大会に参加しました。お盆は500年以上にわたり、毎年旧暦の7月15日に日本で行われてきた行事で、伝統的に踊りもその一部となっているものです。
最初に、研修生は、櫓の上で行われていた大声大会を見学しました。参加者は、騒音計に向かい大きな声を張り上げ、優勝者は、賞品としてスイカを受け取っていました。夏の暑い時期には最適の行事です。
次に、地域の日本の人達をお手本にして、一緒に盆踊りを楽しみました。研修生は全員、盆踊りを覚えることに熱中していたようです。踊りは3つのステップからなっており、伝統的な楽器のリズムに合わせ、段々早くなります。それは私達にはとても難しいものではありましたが、大変楽しく出来ました。また、この盆踊り大会を通じ、日本の文化を学ぶ良い機会になりました。
最後に、色とりどりの花火が打ち上げられ、盆踊り大会は終わりました。私たちは、その音と光の美しさに魅せられました。
このような楽しい機会を持つことが出来、皆様に大変感謝しています。
盆踊りに挑戦します |
地域の人達と季節の行事を楽しむ |
見よう見まねで踊りました |
2012年8月17日 わたしの町、広島
お国で自慢のおいしい食べ物や、お土産、壮大な自然の景色を、みんなの前で紹介したことがありますか?先日、そんな楽しい体験をしました。ひろしま国際プラザで受けている日本語講習の授業の中で、先生やアセアンの国から来た友人たちに、「こんばんは。私は…。私の町は…」と発表したのです。
準備のために与えられた時間は30分でした。研修生はその間に、急いで自分の国の食べ物やお土産、観光地などの写真をインターネットでたくさん探して準備をし、ひとりひとり順番に発表しました。もちろん日本語で!です。研修生はそれぞれの国の大使になったつもりで、自分の国の食文化やおいしい食べ物、かわいいお土産、あるいは余り知られていない素晴らしい場所を紹介しました。
「フィリピンには、本当に素晴らしい自然があり、様々な民族と、色々な食べ物があります。」
「インドネシアには、ロンボクやバリ、ジョグジャカルタ、その他多くのの素晴らしいビーチがある1万7千以上の島々があります。」
「マレーシアは、バティックが有名です。バティックは、手描きやプリントされたモチーフのきれいな衣装で、伝統的なスタイルと現代的なものがあります。サロン(腰巻き)からシャツ、ドレスまで、様々な種類のものがあります。それだけではなく、クッションカバーやマット、テーブルクロスもあります。これらがあるだけで、自宅に高級感が漂います。」
「さて、次はベトナムの番です。ベトナムは、フォーという牛肉入りの麺料理が有名です。フォーには、バジル、コリアンダー、ミントや、どこのベトナムの市場でもよく売られているたくさんのいろいろなハーブ類がたくさん入っています。ベトナムには、フエにある古い王宮から中央部のニャチャン・ビーチまでたくさんの素晴らしい観光地があります。また、ホーチミン市の北にあり、ベトナム戦争中には兵士の隠れ場所であったクチの地下道では、戦時中の生活を体験することができます。」
研修生は、アセアン各国の文化を十分に紹介しました。熱心な先生方や、AJOC研修、あるいは日本語講習のおかげで、日出ずる国の言葉を学び、その言葉で自分たちの国を紹介する機会を持つことが出来ました。私達はまた、おいしい食べ物が一杯ある、桜と富士山の国日本で、日本のこころにどっぷり浸かって幸せな毎日を送っていることを忘れません。ふとこう言いたくなりました。「私の町、日本の広島。ありがとう日本。」
「私の町」の情報を掲示 |
いろいろなベトナム料理の紹介 |
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フィリピンについての紹介 |
マレーシアについての情報 |
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インドネシアのあれこれ |
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2012年12月14日 絵手紙を送ろう
最近では、携帯電話や電子メールなど、メッセージを送る方法がたくさんあります。「はがきを送る」というのはどうでしょうか?おそらく、今風じゃないとか、単に、手書きのメッセージを友達や家族などへカードを送るに過ぎないと思っているでしょう。もし、そうなら、ぜひ絵手紙に挑戦してみてください。楽しいですし、美術や哲学の才能があるかどうかがわかります。
日本文化体験講習では、まず先生が絵手紙について説明してくれました。絵手紙とは、絵入りはがきのことです。絵をひとつ描いて、その絵について思うことをふたつの言葉で表します。絵と言葉の組み合わせにより、はがきの宛名の人へのあなたの気持ちを表すのです。贈り物や詩の代わりに、はがきであなたの気持ちを伝えるのです。
先生は、2種類の筆と、真っ白なはがきをくれました。柄の細い、先の尖った筆は、メッセージを書き、絵の輪郭を描くために使い、もう一方の筆は、幅広で大きく、彩色するためのものです。絵手紙づくりの特徴のひとつは、最初の筆の持ち方です。はがきに対して垂直になるように筆を持たなければなりません。また、絵の色付けにも特徴があります。筆を同様に持ちながら、色を塗ります。筆の先端をわずかに輪郭に重ねなければなりません。絵付けが終わったら、次に、メッセージを書きます。
先生が、以下のような日本語の文字を教えてくれました。
Sea ⇒ 海 | Love ⇒ 愛 |
Winter ⇒ 冬 | Defense ⇒ 防 |
Life ⇒ 命 | Spring ⇒ 春 |
我々研修生は、関連性のあるふたつの言葉(哲学のような)を選んで、細い方の筆で書きました。筆をはがきに対して垂直に持って、絵の周りの上方の空白に言葉を書きました。日本語でメッセージを書くのは至難の業でした。と言うのは、ふだんはアルファベットを使っているからです。筆を使って日本語を書くのは初めてでしたが、なんとかうまくできました。
熱心に絵手紙をかく研修生 |
芸術的 且つ哲学的です |
最後に、先生がひとりひとりに先生の素晴らしい作品をくれました。とても素晴らしい日本文化体験講座でした。日本文化をもっともっと体験していきたいと思います。
素晴らしい作品ができました |
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2013年1月7日 巻きずしとお好み焼きは、美味しかった
AJOC研修生は、日本語と日本文化を学ぶのに加えて、大阪風お好み焼きと、巻きずしの二品の日本料理を作る機会も得ました。ひろしま国際プラザの近くにお住まいの3名のボランティアの先生方に、料理を教えていただきました。
「まき」は巻く、「ずし」は寿司、つまり「まきずし」とは巻いた寿司という意味です。もう一品は、「日本風のピザ」と呼ばれるお好み焼きでした。「おこのみ」は好きなものや好みのもの、「やき」は焼く、という意味です。「お好み焼き」とは、好きな材料を混ぜて焼く料理なのです。お好み焼きには、大阪風と広島風があります。大阪風は、材料をすべて混ぜて焼きます。広島風は、材料を混ぜずに、層状に焼きます。私達が住んでいる西条は、広島のすぐ隣なのですが、今回の講習では大阪風お好み焼きを作りました。
料理に取りかかる前に、まずはカラフルで、キャラクター付きのエプロンをそれぞれが身に付けました。まるで「料理の鉄人」に出る天才料理人のようでした。さあ、日本料理の「冒険」の始まりです。
はじめに、巻きずしを作りました。研修生にとって、大好きな日本料理のうちのひとつです。先生が、巻きずしにはふつうのお米を使い、酢で調味して、甘酸っぱくすると説明され、その後まずは、先生方が作り方をやって見せてくれました。研修生はそれにならって取りかかりました。最初に、まな板の上に海苔を一枚置き、その上に酢飯を乗せます。次に、酢飯の上に、かに風味かまぼこ、シーチキン、キュウリ、玉子、野菜などを乗せます。そして、それを竹製の巻きすで巻きました。そのあと、巻きずしを切り、お皿に乗せ、最後にいちごを添えて盛り付けました。
次に作ったのは、私の大好きなお好み焼きです。材料は、エビ、イカなどの魚介類やネギで、それをお好み焼きの粉と混ぜます。ホットプレートに油ひとさじをひいて、お好み焼きのたねを焼きました。
およそ一時間で、巻きずしとお好み焼きが出来上がりました。お好み焼きには、トッピングで青のりと鰹節を、またマヨネーズとしょうゆを、好みでふりかけました。研修生と先生とHICのスタッフの方とで、「いただきます」を言ってから、食べ始めました。「いただきます」とは、たべものへの感謝を表すことばです。食後には、両手を合わせて「ごちそうさま」と、美味しいたべものに感謝をしました。
今回の日本料理講習をとおしてわかったのは、日本料理では、調味料や油の使用量が少ないこと、また調理工程がシンプルなことです。材料本来の栄養や味が損なわれません。だから、日本料理はヘルシーフードなのです。
おいしい日本料理を作るゾ! |
巻きずし作りは楽しい |
巻きずしが上手に出来上がりました |
お好み焼きが出来つつあります |
上手に裏返すにはコツがあります |
楽しく、おいしいひとときでした |
2013年3月1日 日本語研修修了
来日直後から約1年間に渡って行われた日本語研修の修了式がひろしま国際プラザで開催され、研修生7名にお世話になった講師から修了証書と記念品が授与されました。
修了式のあと、研修生はひとりひとり短いスピーチを行い、1年間の成果を披露しました。
修了式には、1年間生活を共にした日本の研修生も出席し、修了を祝い、1年間の努力を称賛し、その成果に聞き入りました。
修了式開催 |
修了証書授与 |
笑顔で修了 |
修了証書授与 |
修了証書授与 |
ショートスピーチ |
ショートスピーチ |
ショートスピーチ |
ショートスピーチ |
お世話になった先生方と記念写真 |
2013年3月7日 ひろしま国際プラザを退館
研修生は閉講式の翌日、長い間お世話になった職員の皆さんに感謝の言葉を述べ、再会を誓いながら、滞在先の広島国際協力センターを後にしました。
研修生の広島国際協力センター滞在は2012年4月から約11カ月に及び、研修生はその間一度も帰国することなく研修に励んで来ました。
感謝の笑顔 |
お世話になった職員の方々と記念写真 |